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主に登山で使用されるガスのカートリッジ(OD缶、ダルマ缶とも)は色々なメーカーが販売しています。しかし、バルブ形状は一緒に見えるのに「必ず同一メーカーのコンロを使用してください」との文言が付いてますよね。メーカーに問い合わせても「同じメーカーを…」としか言いません。でもその実態はどうなのでしょう?

結論から言うと「ほぼ使用可能」なんですが、違うメーカーのストーブとガスカートリッジでも接続および使用が可能なちゃんとした根拠を考えてみました。



アウトドアのガスカートリッジの元祖

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ガスカートリッジタイプの元祖はイギリスのEPIgas(イーピーアイ)と言われています。まだメイドインイングランド時代のEPIが世界に先駆けてセルフ・シーリング・セーフティ・バルブを採用した小型のガスカートリッジおよびガスストーブを作った…とホームページで謳っております。

スウェーデンのプリムス社のほうが燃焼機器メーカーとしては歴史がありますが、現在のガスカートリッジを基台としてストーブ(コンロ)を直結させる方式はEPIが先駆けのようです。

そして瞬く間に世界中でそれがスタンダードになり、どのメーカーも模倣していった事実は今の世の中を見ればわかることだと思います。

缶に直結する形式が世界中で普及しているのは自明として、なぜその缶のバルブの形状までもが同じであると言えるのか…。その理由を証明するため、仮説を立ててみます。









仮説:バルブを作れるメーカーが一社しか無かった

缶に記載されてる製造元を見て互換性があるかどうか判断する人がいます。それは半分合ってますが不十分です。着目すべきはバルブの形状です。

セルフ・シーリング・セーフティ・バルブはその昔EPIが直接自社で作っていたわけでは無く、バルブ専門で作っているメーカーは別にあったとしたら…。

そしてそんな画期的なバルブを作れるメーカーが当時世界にいくつもあったとは思えません。おそらく一社の発明でしょう…というのが仮説です。

したがって、そのバルブメーカーはEPI以外のメーカーのためにわざわざ異なる形状のバルブを作らなかった可能性が高いのです。

なんなら特許を取っている可能性も濃厚です。特許が無ければプリムス社やオプティマス社などが違う形状のバルブを作っていたかもしれません。

実はこの仮説を補強する事実があります。検索に検索を重ね、実際にこのバルブを作っているメーカーを特定しました。



バルブを製造している企業とは

現在世に広まっているアウトドア用のガスカートリッジ(OD缶)のバルブはドイツに本社を置くLindal社(英字の企業サイトに飛びます)が作っているのです!本国サイトにこのバルブの写真が!!

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こちらはOD缶からもぎ取ったLindal社製バルブ…。Lindal社はエアゾール容器の世界的な専門メーカーで、世界各地に拠点を持っているグローバル企業です。

はたしてこの企業はいつからバルブを作っているのか…。もしそれが仮説の通り、最初に作ったのがLindal社製のみで、現在まで作り続けているとしたら…。

ちなみに、このLindal社のバルブはEPIのものなので、EPIのバルブは少なくとも現在までLindal社製なのです。







結論:みんな同じバルブなんじゃないのか?

まとめると以下のようなことが言えちゃいます。

事実:最初にガス直結ストーブを作ったのがEPI
仮説:当時、他社が独自品を作れず、同じ形状となった?
事実:現在もEPIは同じバルブ
推測される結論:EPIも他社も当初から現在まで同じバルブ

EPIとしては最初に作ったネジの形状を変えると自社どうしで互換性が無くなるので、変えるわけにはいきません。その証拠にEPIは大昔のストーブであろうが現行品のガスと接続可能です。

だとすると、それを初期にEPIを模倣した他社メーカーもストーブのネジの形状を変えるわけにはいかなくなったのではないでしょうか?

すると必然的に

EPIの缶のバルブ形状=他社の缶のバルブ形状

と言えるのではないでしょうか!?

しかもこれは1970年代に誕生したヨーロッパのスタンダードが現在まで世界のスタンダードになっているということなので、現在でもこの手の缶は世界中どのメーカーでも同じタイプのバルブを使用していることになります。

その証拠として、僕がニュージーランドに行ったとき、アウトドア用品店で買ったわけわからんメーカーのガス缶とプリムスのストーブで互換性がありました。なので、プリムスだろうが、MSRだろうが、オプティマスだろうがファイヤーメープルだろうが缶のバルブのネジの形状がどれも同じなので、違うメーカーでもねじ込むことが出来る可能性が大です。



生産物賠償責任保険について

うーん…。とは言え、各メーカーは「必ず同一メーカーを使用してください」と謳っているので、これは僕個人の予想・見解であるということでマネはおすすめしません。

ここで重要なのが生産物賠償責任保険というものです。ガス缶にも書いてあります。これは消費者がこの商品を使って損害が生じたときにメーカーが賠償してくれるというものです。テントが燃えたり、火傷したりしてもメーカーが損害賠償してくれるわけです。ただし、正しく使った場合に限ります。つまりガスとストーブメーカーが同一の場合に限るのです。

というのも、メーカーはガスとストーブ同一の組み合わせで安全性を検査し、保証しているからなのです。ですので、違うメーカー同士を組み合わせて使って事故を起こしてもメーカーは賠償してくれません。

あと、違うメーカー同士だと、ガス缶側のバルブは同じでもストーブ側のピン(ガス缶のバルブを押すところ)の長さが微妙に違ったりするらしいのです。ですので純正の組み合わせじゃないとガスの出が悪くなったり、出過ぎたりして危険という話もあります。

さらに余談ですが、缶とストーブの互換性云々以前に、日本で検査していない格安中華ストーブなんかの中には正常に燃焼しない不良品もあるらしいので、くれぐれもご注意ください。



おわり
2018年7月30日
2019年4月21日加筆修正