特別な登山をしていない、ただの登山者の僕がなぜブログで情報発信をしていこうと思ったか…。

そんなことについて詳しく書きます。少し長い文章になります。



学生時代の新入生勧誘の延長

僕には、もともとブログを書く大きな理由として、「多くの人に登山を知ってもらい好きになってもらうために、自分の経験、知識をシェアする」というテーマがあります。

その思いの根源は、学生時代のアウトドアサークル活動における新入生勧誘活動の経験です。どういう内容なら登山に興味を持ってくれるかとか、どういう情報が面白いかを考えるのが学生の当時から好きだったように思います。

しかし、所詮はただの一般登山者である僕の知識や経験をブログに書いても誰が見てくれるんだという気持ちは当然持っていましたし、そもそもブログを書こうなんていう考え自体、長い間ありませんでした。



山ブログ(記事)って山にすごく詳しい人が書くものだと思っていました

そもそも山に携わる情報を発信する人はごく一部のプロフェッショナルだけだと思っていました。しかしそれが少し違うことに気づきはじめたことが、僕がブログを書くきっかけのひとつになりました。そのきっかけとは、登山系キュレーションサイトの台頭があります。

キュレーションサイトとは、“Y○MAHACK”のようないわゆるまとめサイトのようなものです。ほとんどの記事が超初心者向けの記事で、メーカーの情報を切り貼りしたような内容のものも多くあります。

実は、そういうのを書いている側の人と接触する機会があって知ったんですが、書いている側の人もさほど登山の経験が無いような人もいます(もちろん全員ではありません)。初心者向けに「オススメ10選」とか「これだけは知っておきたい○○」とか書くわりには、彼らは山のプロフェッショナルではないのです。少なくとも僕にはそう見えてしまいました。

それにもかかわらず、たくさんの人がそのような記事を参考にしているという現状があります。実際に初心者を山に連れていく前に、その初心者が事前に自ら調べた内容はすべて登山系キュレーションサイトの情報から得ていたという経験もありました。

確かに世の中の人間のほとんどは登山をやらないし、初心者のほうが多いのが現状です。機械的にPV(ページビュー)を稼ぐならこの程度でも出来てしまうのか…と。

そして思ったは「これくらいだったら僕でも書けるな」ということでした。



アウトドア業界に就いてわかったこと

僕自身がアウトドア用品を扱う仕事に就いて、業界をよりよく知ったことも、ブログを書くハードルを下げる要因になりました。

業界にいると、実際に道具の知識がイマイチの店員さんもいることがわかってきましたし、山道具を扱うメーカーにもかかわらず、てんで山に登らない人間もいることを知りました。必ずしも高度な登山技術が無くても一定の水準の知識があれば初心者を指南することができてしまうということです。

逆に、高度な登山技術を持っていても初心者の動向や志向が理解できていない人もいます。エントリー層からミドル層とはかけ離れた登山をしている人で、初心者に関心が無い人です。

初心者向けの情報であれば、逆に高度な経験は必ずしも必要ではないのです。もちろん、ちゃんとした知識を得たいなら山岳ガイドクラスの人から指南を受けるのがベストでしょう。しかし、登山を数年やっていれば誰でも知っている知識でも書き方次第では、ブログとして成り立つのではないかと思いました。



若者登山エントリー層の増加

また、近年若い登山者層が増えていることで、僕レベルのブログでも需要があるんじゃないかと思うようになりました。

僕が登山を始めたころはアウトドアファッションなどはまだ一般的ではなく、ノースフェイスやパタゴニアなども今ほどファッションに特化してませんでしたし、他のアウトドアブランドに至ってはほぼオシャレとしての市民権を獲得してなかったと思います。ようはアウトドアウェアがダサかった時代です。登山に行っても9割中高年、1割学生というような状況でした。

それが2009年に北岳に行った時、ふと、「あれ?若い人(しかもおしゃれ)な人多いな」と思ったことを記憶しています。さらに翌年2010年、奥穂高に行ったんですが、あのときの横尾の若い登山者の数は忘れられません。

その人たちは明らかに社会人から登山を始めた人たちだと思いました。学生の臭い登山をやっていた僕は、装備と顔つきで学生からやってる人かそうでないかの区別はなんとなく付きます(笑)。

この時期はそれまでフリーペーパーだったPEAKSが登山専門誌として人気が出始め、「山ガール」という言葉が流行した頃でした。アウトドアウェアもどんどん若者向けのカッコいいデザインが出てきて、ファッションとしての市民権を獲得していきました。

そんななかで、すでに数年山をやってきた僕は経験値でアドバンテージがあるのではないかと思うようになりました。つまり「僕レベルの知識でも参考にしてくれる層」が存在していると思いました。



Twitterの延長としてのブログ

現在、登山スタイルは非常に多様化していると思います。Twitterを見ているとその多様化がよくわかります。その多様化の中で、ブログの需要をある程度見出だすことが出来ました。

今Twitterを見ると多様な人たちが活発に登山を始めています。きっかけは写真だったりヤマノススメだったり山と食欲と私だったり…。そういう人たちをフォローしていると、初心者の状態から急速にどんどんレベルを上げていく様子などを見ることがあります。本当にスゴい行動力だなあと思います。

僕のように学生から登山をやっていると、「独学で登山をやるのは危険」などとひねくれた老害的思考回路に陥りがちですが、今や情報化社会ですので登山の始め方は自由です。それはそれで良いと思っています。

でもそうなると、登山情報の獲得先としてネットからの情報の比重が増えます。TwitterなどのSNSは登山のトレンドを探ったりするのに最適なツールです。ブログもTwitterと平行運用することで、アクセスの流入をある程度確保できると予想しました。

ちなみに、Facebookのコミュニティはもはや完全な自己満足自己完結な投稿が多く、マンネリ化している印象であまり参考にしてません…。

というわけで僕はここ8年ほど、Twitter上で登山のトレンドを見たり、そこに刺激的なツイートを投下することで色々な知見を得てきました。色んな反応をいただいたり、共感をいただいたこともあります。

何が言いたいかと言うと、Twitterが下書きだとしたら、ブログで清書をしてみようと思ったんです。つまり、このブログはTwitterの延長線上でもあります。多様な登山者が利用するTwitterで今までウケた内容なら、ブログにして世に出してももある程度ウケるであろうと思いました。



山のマーケティング

需要の可能性を見出だしてくると、どういうブログが良いんだろうか…と思うようになりました。そこでマーケティング的な目線で山を見てみます。

とは言え、僕は本格的なマーケティングの知識は無いんです。しかし以前勤めていた会社で新商品の開発プロジェクトなどに関わっていましたので、マーケティングの真似事のようなことはしていました。職種は営業だったんですが、当時、上司だった方からも「営業はただ商品を売り付けるんじゃなくてマーケティングをするんだ」とよく言われていました。営業マンは相手のニーズをくみ取り、実現するということです。それを単にマーケティングと呼んで良いのかどうかわかりませんが、相手のニーズをくみ取り、それを可視化させていくという過程は僕にとって楽しいものでした。

話が逸れましたが、登山ブログの話に戻すと、いわゆる登山ブログって、ほとんどが「山行記録」だと思います。僕もあまりメジャーでは無い山に行く際はまずはネットで調べます。するとどなたかのブログが出てくるわけです。確かにそのとき役には立ちますが、果たしてそれは皆のニーズに応えているでしょうか?

人気の出るようなブログを書くなら継続的に読みたいと思う内容だったり、興味をそそるタイトルにしなくてはいけません。(誇張やウソはいけませんが)つまり、一般の読者のニーズを満たすもの、読んで面白いものでないといけません。

ネットに多くある山行記録はその山に行く人ならとても参考になりますが、あくまで情報のひとつとして消費しているにすぎません。書いている人も自分の備忘録として書いていたりするのがほとんどで、よっぽど面白い山行をしてない限り、それを継続的に読むかというと疑問です。

つまり、人気の出るブログを書くには自分で好き勝手に記録を書くのではなく、ある程度「こういうこと書いたらウケるかな」と思って書かなければいけないと思うのです。そのとき、マーケティング的思考が必要になってくると思うんです。これはブログだけじゃなくTwitterでも同じことです。読者に好まれる投稿が何かを見極め、投稿していくことが大事です。

僕はこの山マーケティング的思考が好きだし楽しいので、書きたい記事、ネタはたくさんありました。それで「これなら書けるかも」と思い始めました。



まとめ:普通の登山者だから書けること

長々と書いてしまいましたが、まとめます。

  • 登山のプロフェッショナルでなくても情報発信出来ること、
  • 若者登山エントリー層の増加によって僕レベルの知識も誰かの役に立てるということ
  • Twitter上で今まで発信したことをブログにしようと思ったこと
  • 山をマーケティング的な目線で見ることで書きたいネタが浮かんできたこと

だんだんと僕がブログを書けるということが自分でもわかり始め、具体的なテーマを探りはじめた結果、普通の庶民目線の山ブログなら需要があるのではないかという結論にいたりました。

はっきり言って世に出回る記録やブログは、あまり参考になるようなものが無いように思えます。たとえば、書いてる人がすごい体力だったり(アルプス日帰りとか)、すごい装備にお金をかけていたり、自由な時間が多かったり…とにかく上級者が多い気がします。

つまり、初心者のニーズに合った、庶民的な目線で描いた山ブログってあまり無いのではないか…ということに気付きました。そう思うと、「僕のブログでも市場で生き残れるこもしれない」というのが見えてきました。

僕は体力は無いほうです。登山の内容は庶民的です。そんな僕でも唯一持っているものは、ただ十数年愚直に色々な山に登ってきたという経験だけです。それに加えて、先に挙げた様々な出来事や経験があって、「じゃあいっちょブログでも書いてみるか」ということにしました。

あくまで庶民的な目線で、ごく普通の登山をしてきた結果、見えてきたものを、これから登山を始める人や始めたばかりの人と共有できたらいいなと思っています。

うーん、長々と書いてしまいましたが、こんなところです。ここまで読んでいただいた奇特な方がいらしたら有り難うございました。



おわり
2018年8月11日(山の日)

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