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僕は本当は「ウルトラライト」という言葉より「軽量化」という言葉のほうが好きです。装備を軽くすると身体が楽になり、より長く快適に歩くことが出来ますが、闇雲に装備を削るパッキングは良くないと思っています。しかし自分の経験に基づく取捨選択をしてパッキングをするのは有意義なことだと思います。

実際に八ヶ岳で使用した僕の軽量化装備と軽量化についての考えを書きます。



ウルトラライトと軽量化

僕は、テント泊において装備の重量が増す原因は、テント、シュラフ、食糧にあると考えています。このセクションを見直し、快適さを損なわない程度に軽量化をしていけば、装備重量は誰でも容易に10㎏を切ります。もちろん一般登山道の夏山縦走を想定した場合です。また、ザックもなるべく小さいものにするのが良いでしょう。ザックが大きいと知らず知らずに荷物を入れすぎてしまいます。

最近は「ウルトラライト」というバックパッキングの考え方をよく耳にします。従来の登山用品よりも軽い装備を扱う「ウルトラライトバックパッキング」の本質は一体何なのでしょうか?アメリカのバックパッキングカルチャーは日本の登山にも当てはまるのでしょうか?アメリカのガレージブランドや、日本のガレージブランド等の装備を使用しないと実現出来ないパッキングなのでしょうか?従来の登山用品メーカーの製品ではダメなのでしょうか?

僕は「ウルトラライト」という言葉より「軽量化」という言葉を好みます。(このブログではウルトラライトという言葉を多用しているのにもかかわらず…)

僕が実践している軽量化パッキングの内容をご紹介します。

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ザックの全体像はこんな感じです。ザック+パーゴワークスのパスファインダーLを使用しました。



天幕・・・シェルター

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ファイントラック(finetrack) FAG0123 ツエルト2ロング MO(モス)









テントの代わりにツエルト(ファイントラック(finetrack))を使用しました。

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本体重量は340gで細引きを入れると385gです。

ポールはストック利用を想定しています。

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中は通常のドーム型ソロテント程度の広さがあり、不自由はありません。しかしツエルトは通常のテントと比べてリスクはあります。そこを認識して使うことが大前提です。



寝袋・・・スリーピングバック

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イスカ(ISUKA) 寝袋 エア180X レッド [最低使用温度8度]









寝袋(シュラフ・スリーピングバッグ)は、イスカ(ISUKA)  エア180X を使用しています。最低使用可能温度は8℃ですが、夏の北アルプスまでなら僕の場合ギリギリ使用できます。でも正直寒いです。

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2リットルペットボトルの3分の2程度のサイズで、非常にコンパクトになります。重量は実測値で462gです。



背嚢・・・バックパック

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ドイター スペクトロAC32を使用。30リットルクラスのザックです。重量は1,000gちょっと。

フレームレスザックよりフレームがあったほうが背負いやすいし、パッキングもしやすいと思っています。背負いやすい方が結果的に疲れにくいので、長距離を歩くことも出来ます。



飯盒・・・クッカー/ストーブ

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EPI(イーピーアイ) バックパッカーズクッカー S T-8004







クッカーはEPI(イーピーアイ) バックパッカーズクッカー Sを使用しました。ストーブは自作したアルコールストーブです。

クッカー重量:140g
燃料、ストーブ本体、ゴトク、風防の重量の合計:約210g



食糧・・・レーション

アルファ米ビビンバ・・・1食(夜) The温 海鮮ビビンバ 10個入
フリーズドライのスープ・・・3食(夜・朝)
行動食・・・トレイルミックス、ミニ羊羮、グミ等

正直、食料はかなり削っています。もうちょっとあっても良かったですね(笑)。でも今までの経験からこの量でもなんとか身体を回復出来るという想定で用意しています。

人によって燃費は違います。自分がどれくらい食べなくても大丈夫か、シャリバテにならないギリギリの量はどれくらいかを知る必要があります。



装備全容

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①食糧
②着替え
③マムートの雨具
④ノースフェイスの化繊インサレーションジャケットTHE NORTH FACE ライトヒートジャケット 
⑤パタゴニア R1ベスト
⑥ノースフェイスのレインキャップ
⑦ドイターのザック32リットル
⑨自家製アルコールストーブ
⑪ファイントラックのツエルト2ロング 
⑫イスカのシュラフエア180X 
⑭ブラックダイヤモンドのヘッドランプ
⑮予備電池・リペア系
⑯ファーストエイドキット
⑰トイレットペーパー(雉打ち用)
⑱アルトラのシューズ(ローンピーク)ALTRA(アルトラ) ローンピーク3.5
⑲サーマレストのマットTHERMAREST(サーマレスト) Zライト ソル
⑳ブラックダイヤモンドのストック(トレイルコンパクト)

他の装備は普通のテント泊登山装備とあまり変わりません。当然ですが、安全面で必要なものは一切削りません。ウルトラライト系ガレージブランドも持ってませんので使ってません。



僕のパッキングについての考え方

僕は「ウルトラライト」は極端な考え方だと思っています。確かに軽量化するのは素晴らしいですが、それに「ウルトラライト」という名前を付けてそれを信仰するような風潮は少し変だと思っています。自分の経験に基づき、装備の取捨選択をすることで、装備は自然と軽くなります。それ以上必要でしょうか?

特別に軽量な素材を使用したり、極端に無駄をそぎ落として重量を軽くしたザックを使用したり…それはもはや「ファッション」だと思っています。もっと言えば「ネタ」です。自分のためではなく、人に見せつけるためのものです。自分のライフスタイルをファッションに投影するのと同じで、「俺はここまで軽量化することにこだわっているんだぜ」というメッセージを自分の装備に込めているだけです。それは本当にフィールドで意味のあることでしょうか?

だから僕は「ウルトラライト」という言葉よりも単に「軽量化」という言葉を好みます。「軽量化」という言葉には「初めは重かったものを軽くしていく」という意味合いがあると思っています。いきなりウルトラライトな装備を模倣するのではなく、まずはオーソドックスな山の装備を基準に考えて、そこから軽量化していくべきだと思っています。

もちろん「ウルトラライト」だって本当はそういう思想でしょう。しかし今のブームを見ると、どうもそういう本質が置いていかれて、ファッションに走っているように見えるのです。まあでもそれをわかっていて、ファッショナブルにウルトラライトバックパッキングを楽しむのは悪いことだとは思いませんが。

本当にウルトラライトを目指す前にまずは重い装備を背負って筋肉をつけて、装備を軽量化していく…それが王道ではないでしょうか。ここまで書いてふと気付きましたが、ずいぶん老害チックなことを書いてしましました…(笑)。

というわけで、今回は僕なりの「軽量化」装備の内容と考え方を語らせていただきました。



おわり
2018年8月8日

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