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登山ではお馴染みのアウトドア用のガス缶(ガスカートリッジ、ガスボンベ、OD缶とも)ですが、そのガス缶にまつわる誤解のなかでよく聞くものを3つ取り上げてみました。


誤解その1:ガス缶カバーが缶を温める効果がある?

市販のネオプレン製のガス缶カバーが缶を温めてくれる効果があるというのは…誤解です。


たしかに、ガス缶を冷やさないように使えるなら、ガスの気化が促進され、寒冷地でも出力低下防止の効果が期待できます。しかしネオプレン製カバーで覆っただけでは出力低下は防げません。

ウェットスーツなどにも用いられ、保温素材として知られるネオプレンですが、あくまで「保温」です。保温ということは、もともと熱を持っている物体から熱が逃げるのを抑制する効果があるということです。ところが、ガス缶自体は熱を発しません。熱を発しないどころか、バーナーを使用しているとガスの気化に熱を使用するので、回りの空気を冷やします。すると缶も冷えていきます。

ネオプレンの性能として「保温」と言いましたがもっと正確に言えば「断熱」です。冷え冷えの缶を断熱材で覆ったら余計に冷えたままになってしまい、むしろ逆効果となってしまうのです。

カバーのほとんどの目的はガス缶を衝撃から守るということだと認識すべきでしょう。



誤解その2:中身が入ったガス缶が処分できない?

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空缶は穴を開ければ、たいていの地方自治体の処理区分で家庭ごみとして出せます。地方自治体が出してるごみの出し方ガイド本をよく読めば書いてあるはずです。

穴の空け方は専用の器具を使ってもいいですし、トンカチとペグ(楔)のようなものでも空けられます。※ただし、ガスが入った缶をペグなどで叩くと火花が飛んで引火する可能性もあるので危険です。


EPI(イーピーアイ) カンベンチレーター2 A-6702









EPI(イーピーアイ) カンベンチレーター2 A-6702 アウトドア缶(OD缶)専用の穴あけ専用の器具です。


問題は中身が入った状態のガスカートリッジですが、処分方法はいくつかあります。

  1. 火を点けて使い切る
  2. 穴を開けて無理矢理ガスを出す
  3. 登山用品店で処分してもらう
  4. 販売元に送って処分してもらう
  5. 空港で処分してもらう
などです。

1の火を点けて使いきるのは一番明快ですが、難点は時間がかかることです。

2の穴を開けて無理矢理ガスを出す方法ですが、危険度が高いです。やるなら屋上や広い公園などで周りに火の気が無いところでやりましょう。穴を開ける際に絶対に火花が飛ばないようにしましょう。穴を開けると液のガスがブシューと噴出します。そして臭いが結構きついのでそこも要注意です。

3の登山用品で処分してもらう、ですが、最近は持ち込みをお断りしているお店も増えてますので事前に問い合わせたほうがいいでしょう。

4ですが、意外と知られていない方法かもしれません。とはいえ、処分受付をしてくれるメーカーとそうでないメーカーがあるらしいので、事前に問い合わせをした上で送りましょう。

1~4まではもう今後ガスを使わないという前提だったり、残り少なすぎて使い物にならないという理由からの処理でした。

最後の5は飛行機に乗って山旅から帰る際、「現地で買ったこのガス缶どうしよう?」という問題です。これでは飛行機には乗れないし、かといってその辺に捨てることも出来ない…というときです。こういうときはそのまま空港に行って、「これ持ち込みダメですよね…」とガス缶を出せば没収という名の処分をしてくれます。



誤解その3:ガスは劣化する?

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ガスの成分は劣化するのでしょうか?答えはNOです。古いガス缶でも中身のガス自体が経年で劣化したり、変質したりすることはありません。

倉庫から出てきたガス缶や、人からもらったガス缶でも使うことは出来ます。

ただし、缶本体が劣化している場合、使用が危険な場合があります。ご注意ください。缶が著しく錆びていたり、缶のバルブの中のプラスチック部分が溶けていたり…。そんなときは使用は止めたほうがいいでしょう。

まだまだありそうですが…今回はこの辺で。