2019年の山の締めくくりとして、近年僕の中で恒例の雲取山に行ってきた。


12月で積雪のある珍しい年

2019年の締めくくりとして12月28日から29日にかけて雲取山荘に泊まってきた。雲取山荘の年末宿泊は何度目かになるのだが、今回はこの時期としては僕史上初の積雪で新鮮な気持ちで訪れることができた。



今回のパッキング

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​カーゴはパッキングが難しい…。



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​ここに食料とお酒が加わった。



小屋泊なので今回はカーゴ40でパッキング。最近は日帰り短時間ハイクが多く、小屋泊自炊は久しぶりなのでどうパッキングすれば悩んだ。30リットルくらいのザックが欲しい…。



奥多摩駅〜鴨沢バス停

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​休憩スペースができていたり、外のトイレが改築中だったり、変わりゆく奥多摩駅。



ルートはいつも通り奥多摩駅から鴨沢からバス。この日の前日は仕事納めの人も多かったことであろう。そのせいか、納会後、朝まで飲み明かしてフラフラ線路を歩いていた人もいたらしく、年末の早朝から首都圏の鉄道路線で人身事故があった。そんなわけで奥多摩駅の到着も遅れてしまい、目的のバスより1時間ほど後のバスに乗車。もとより急がない登山だったが、スタートからのんびりしたものとなった。



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​ボロボロの登山靴、久々に履いたらめちゃキツく感じた



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鴨沢バス停の野良猫たちは随分と肥えている。猫が幸せそうにしている町はいいところだ。集落を登っていくとやがて雲取山の登山口となる。久々に履いた登山靴が窮屈だ。



登りはじめの服装

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登山中のレイヤリングはスマートウールのイントラニット200 にワークマンのエアシェルジャケットでほぼずっと過ごした。動き初めはフリースを間に着ていたが暑くてすぐに脱いでしまった。

樹林帯を淡々と登り、小袖の駐車場で林道に一度合流。日帰り登山の場合はここの駐車場にクルマを停めていくので、公共交通はつらい。ここのトイレは冬季閉鎖中だった。



平将門公伝説を追って…

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​小袖の入山口



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この辺りから我々一行は平将門(たいらのまさかど)の逃走に想いを馳せながら登ることになる。

なぜ急に平将門?と思うかもしれないので説明しよう。平将門とは平安中期の関東地方の豪族である。色々あって朝廷に反旗を翻し、討伐の対象となり追われることになるのだが、その逃走ルートとなったのがこの丹波山村、雲取山付近なのだ。そしてその「迷走ルート」として言い伝えとも史実ともつかない伝承のエピソードが書かれた立て看板が、この鴨沢ルートのいたるところに立っている。

この小袖の登山口に書かれているエピソードは将門たちの「お祭り騒ぎ」についてなのだが、これには笑える。ここまで来れば追手は来ないだろうと踏んだ将門たちが三日三晩お祭り騒ぎをしたというのだ。それは地元民も巻き込む盛大なものだったという。そのせいでここの地名は「お祭」となり、今もそう呼ばれているとな。朝廷に追われている身ではあったが、地元民には愛されていたらしい。



平将門を襲う悲劇とは

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この先にもこんなようなエピソードがいくつかあるのだが、あるところから自体は急変し、喜劇から悲劇へと変貌していくのである…。詳しくは登りながら読むのをおすすめする。ちなみにこの立て看板、全部で10もあるのだが、必ずしも等間隔には立っていないので、登山中のマイルストーンにはならない。一応前後の立て看板までの距離の記載はあるが、2km近く先のもあれば、ほんの数十mで次のが立っているばしょもあるから困る。



七ツ石小屋

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​七ツ石小屋テント場



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​七ツ石小屋



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​七ツ石小屋



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​七ツ石小屋



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​七ツ石小屋



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​七ツ石小屋



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​七ツ石小屋



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​七ツ石小屋



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​空き缶をぺちゃんこにするための丸太。



七ツ石山下の巻道は現在台風19号の影響で道が崩落し通行止めだ。せっかくなので中の巻道は健在だが、せっかくなので七ツ石山を経由することにした。途中、七ツ石小屋で休憩をとる。多くの登山客で賑わっていた。

七ツ石小屋はTwitterでよく情報発信をしているありがたい小屋。親しみもあるし、相互フォローなのでお声かけしようかと思ったが恥ずかしくて断念。あとでTwitterで「次はお声掛け下さい!」とリプライをいただき、恐縮。また絶対行こう。



七ツ石山山頂へ

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さて、七ツ石小屋を後にすると雪が登山道にもちらほら出てくる。不安な人はこのあたりから軽アイゼンやチェーンアイゼンをつけたほうがいいだろう。標高1700mを越え、稜線に上がると場所によってはかなりの積雪量だ。七ツ石山頂もうっすら雪に覆われていた。トレースはばっちりついている。

ブナ坂まで雪の斜面を下るとそこには平将門の最後のエピソードとエピローグがあるのだが、驚愕の結末が待っている。これはここに来てから是非読んでみて欲しい。



ブナ坂〜雲取山山頂

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ここから先は平将門は関係ない道になってくるのでモチベーションがやや下がるが、景色が開けて気分は最高だ。南アルプス、富士山の眺めを終始楽しめる最高のトレイル。しかし日当たりのよい斜面は雪が溶けて踏み荒らされてドロドロなのが残念である。

スタートのときより窮屈に感じていた登山靴だったが、奥多摩小屋跡付近でとうとう問題が発生。靴ずれでかかとの豆が潰れてしまった。ジェル入り絆創膏で応急処置。これが効くのだ。痛みがほぼ無くなる。



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奥多摩小屋から先のピークは巻道を選び、雪の道を進む。ここから先、小雲取山の登りから雲取山荘までずっと雪が続いた。

なお、奥多摩小屋は完全閉鎖されており、トイレ利用も幕営(テント設営)も不可なので注意。闇テントカッコ悪い。頂上避難小屋は使えるが、緊急時以外は利用は控えたほうが無難。



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雲取山〜雲取山荘

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雲取山荘へは巻道があるが、雲取山頂を経由した方が早い。雪のたっぷりついた下りが終わると小屋が現れた。北面なので小屋の周りも雪が多い。



雲取山荘での宿泊

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​さまざまなジャンルの本が並ぶ



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​学校の教室のような部屋



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天皇陛下の皇太子時代の御写真が並ぶ



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到着すると部屋に案内される。よほどの混雑でない限り、ひとグループにつきコタツの個室をひとつあてがわれるのが最高だ。今まで相部屋にはなったことはない。なんとコタツは消灯時間まで電源が入っているので暖かい。



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​眩いばかりの東京の夜景



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夜は満天の星空が広がった



雲取山荘の自炊

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雲取山荘に泊まるときはいつも素泊まりで食事は自炊だ。自炊は別棟のプレハブ小屋で行うのだが、これが別棟でなくてもう少し広かったら言うこと無しなのだが…。とはいえ、自炊客は通常少なく、この日も我々含めて3組程度だったし、暖房もガンガン効いているので快適だった。

山なのでもちろん鍋料理。持ち寄ったビールやワインを楽しんだ。



朝、再び山頂へ

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​右から甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳


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​右から北岳、間ノ岳


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右から悪沢岳、赤石岳、聖岳



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​照らされる相模湾



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翌朝はのんびり起きて朝ごはんを作って食べていたら日が昇った。すっかり凍結した道にアイゼンを効かせながら山頂に向かい、しばし景色を堪能。この日も快晴で、相模湾が太陽に照らされて光っていた。二日目は三峯口には向かわず鴨沢へと戻るだけだ。



チェーンアイゼンがおすすめ

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朝は凍結箇所が多いので七ツ石小屋あたりまでアイゼンをとったりつけたりして行動した。雲取山くらいの森林限界以下、2000m程度の山であればチェーンアイゼンがおすすめ。よくある4本爪の軽アイゼンでは土踏まずにしか爪がなく、バランスが悪い。6本ならば多少はバランスはよくなるが、それでも足裏中心に爪が集中しているのであまりよくない。それでいて爪の長さはけっこうあるので余計歩きにくい。チェーンアイゼンだと前足部と踵にまんべんなく爪が配置され、爪の長さもちょうどよいので歩きやすい。脱着も容易で楽。



登山靴が合わなくなってきた

下山中、いよいよ登山靴の中の足が限界に近づいてきた。小指が当たり、豆が破れた。以前は靴の中で足が当たってもここまでにはならなかったが、久しぶりだということと、トレランシューズに慣れすぎたことが原因だと思う。最近履いているアルトラというトレランシューズは「フットシェイプトゥボックス」という、非常に足先の広い形になった靴なのだ。なのでそれに合わせて僕の足も伸び伸びとしてきているらしい。以前より登山の当たりが明らかに悪くなった。これはもう、この靴は履けない…と思いながら下山。

そもそも、僕の履いていった靴はスカルパのシャルモという所謂「ライトアルパインブーツ」であり、岩稜以外の道には適していない。ソールが硬くしなりが全然無いのだ。荷物が特別多くなくて、かつ土のトレイルならソールはある程度柔らかいほうが絶対によいとあらためて思った。

今回は雪があることがあらかじめわかっていたので、防水性の高い登山靴を選んだが、本当はトレランシューズで行きたかったくらいだ。しかし防水性がないトレランシューでは万が一にでも雪が靴内に入ってしまったら始末が悪い。確率は低いがそんな状況で一晩ビバークとなった場合耐えられるだろうか?そこまで考慮するとトレランシューズという選択はできなかった。そんなわけでトレイルランシューズの防水のものが欲しくなった。できればミッドカットのもの。



鴨沢から奥多摩駅へ帰還

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​意外と美味かったプロテインバーベイクドチョコ



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鴨沢からは「丹波山村民タクシー」というものを利用。もともと村民による村民のためのタクシーだったが登山客利用ができるようにしたものらしい。この日は村民の方が出払っているとのことで役場の職員さんが来てくださった。4,000円ほどで利用可能。最後になんと丹波山村特製ファイルをいただいた。狼伝説デザインの超カッコいいやつ。

温泉は駅から徒歩5分くらいにある、もえぎの湯に入浴。珍しく空いていた。電車時間の待ち時間で駅前のクラフトビールカフェ「バテレ」で美味しいクラフトビールに舌鼓を打ち、帰宅となった。

とても充実した山行となった。それにしても最近はランニングをしているのでもう少し楽に登れるかと思っていたが、やはり荷物を背負ってゆっくり登っているとそれなりに疲れてくる。下りも靴のせいもあり、なかなかキツかった。ランニングと登山は別物だなぁと思いつつも、今度はまた走ってタイムトライアルをしてみたいと思う僕なのであった。



おわり
2019年12月30日

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