僕が登山用の分離型のシングルバーナー(ストーブ)を使っているなかで、「これは便利だなあ」と感じたり「使いにくいな」と思ったりした経験に基づき、分離型バーナーの選び方について書いてみます。


分離型バーナーとは


いわゆるアウトドア用のガスカートリッジ(ガス缶、OD缶、ダルマ缶など呼び名は様々)に直結型してバーナー(ストーブ)を取り付けるタイプを「直結型」、缶との取り付け部分がホースを介することでバーナーヘッドと離れているバーナーを「分離型」と世間では呼んでいるようです。



20170311162505_IMG_2165
このようなタイプが一般的です。


 

そもそも分離型バーナーはどんなときに必要か


20180107051352_IMG_4549
僕が分離型バーナーが必要だと感じるシチュエーションは大きく分けて二つあります。
 
一つ目はパーティ(複数)で登山をするとき、もっと限定的に言えば、雪山にパーティ登山で登るときです。
二つ目は、あまり僕は行きませんがキャンプのときだと思っています。

複数の人員で行く登山で分離型バーナーが必要だなと思う理由は、単純に調理量が増えるため、大きな鍋を使うからです。分離型バーナーは直結型のバーナーより重心が低く、安定して調理が出来ます。さらに雪山では雪から水を作ることもあるため、大きな鍋での水作りのためにも必要になります。

大人数で重心が高い直結型バーナーを使用していると誰かが鍋にあたってしまい、せっかくの料理をこぼしてしまうことも有り得ます。というか、私も幾度か経験しています。それはとても残念なことですし、色んな意味で消耗します。ただでさえ疲れている登山の最中で、調理くらいリラックスして行いたいですよね。

分離型バーナーは登山のみならず、大人数のキャンプでも活躍します。これは説明がいらないとは思いますが、パーティ登山と同様、大人数なら大鍋を使うシチュエーションもあり、調理が楽です。



分離型バーナーのここがスゴい!


20180317182739_IMG_4880
分離型バーナーの良い点は、なんといっても安定感の良さです。重心が低いため、鍋が転倒するリスクが低くなります。これは全ての分離型バーナーに言えることでしょう。

また、直結型のシングルバーナーと違い、炎の下にガス缶が無いため、炎からの輻射熱が缶に伝わらないという特徴があります。
一般的にガス缶本体に過剰な熱が加わると缶が爆発しますので、バーナーの各メーカーは輻射熱で缶が熱されることを危険としていますが、分離型に関してはこの限りではありません。
缶が熱されることなく安心して鉄板料理やフライパン料理が出来ます。特に夏場のキャンプではこれは大きなメリットだと思います。



分離型バーナーのここがダメ!


直結型のバーナーと比べると
  • 重い
  • かさばる
  • ホースが長い分、使用時にスペースを使う
などなど、デメリットもたくさんあります。しかし、先にあげたメリットとデメリットを天秤にかけ、それぞれのシチュエーションに合わせて考えた上で使ってみてはいかがでしょうか。

したがって、僕の場合は、夏や冬の単独山行では直結型バーナー、冬のパーティー登山は分離型バーナーを使用しております。僕の場合、パーティ登山の際の団体装備についてはシビアな軽量化は意味の無いことだと思っていますので、使いやすさ、リスクの少なさ第一で装備を選んでいます。



分離型のシングルバーナーを選ぶ基準


それでは世の中に数ある分離型バーナーのなかでどのようなものを選べば良いのでしょうか。

まず、燃料の種類ですが、ガス液体燃料があります。液体燃料についてですが、僕は液体燃料用のバーナーは持っておりませんが、聞く限りではメンテナンス性や、使い勝手が悪いというのが液体燃料についてよく言われることです。もちろん寒さに強いという信頼はありますが、ガスでも寒さに強い配合の製品も出ておりますので、僕はガスをおすすめします。

次は安定感が良いものを選びましょう。なるべく重心が低いものがおすすめです。これは実際にお店で見てみると納得が行くと思います。

最後に着火(点火)のしやすさです。実は僕にとってはこれが結構重要で、直結型のバーナーと異なり、地面と鍋との距離が近い分離型バーナーは、バーナーヘッドの下に指やライターを突っ込んで点火するのが非常に面倒なのです。面倒というか、火傷のリスクすらあります。

だから僕は手元で点火できるタイプ、すなわち点火スイッチが炎からの離れたところにあるモデルをおすすめします。これはとっても便利です。



僕のおすすめの分離型バーナーは…


幾つか有名どころを紹介していきましょう。




プリムスのウルトラ・スパイダーストーブは数年前に使っていました。
僕が使っていたモデルはイグナイター(点火装置)がバルブ側のホースについており、使いやすかったのですが、いかんせん繊細すぎる作りで、いつしか取れてしまいました…。結局毎回ライターで点火するはめになってしまいました。おそらくイグナイターがもげる事例が多発したのか、後継モデルではイグナイターが除去されています(笑)。
あと、全体的に計量でコンパクトなのはとても素晴らしいのですが、少しホースが短いのと、本体が軽すぎるので安定感にやや難ありです。






EPIgasのSPLITストーブは「スプリット」と読みます。要は「分離」という意味ですね。
このモデルの大きな特徴は脚の高さを調整することができるところでしょうか。これで安定感を高めているらしいですが…しかし実際使ってみるとあまり大きな段差には対応しておらず、さらにゴトクの固定がユルくなることが多く、安定どころか不安定さすら覚えます。
ゴトクにリングを付けて安定感を増せるのですが、これも面倒です。
さらに手元点火タイプではなく、イグナイターは炎の真下に入っているため、点火がしにくいことこの上無いです。




SOTOのストームブレイカーは液体燃料とガス燃料を両方使える画期的なマルチフューエルストーブです。残念ながら僕は使ったことはありませんが、今年(2018年)一番の注目モデルです。
ガス缶を逆さまに取り付けることで「液出し」仕様となっています。「液出し」とは、かぎりなく液化状態に近いガスを燃焼させることをいいます。ガス缶の中には液体と気体のガスが入っています。通常は気体になったガスから順に外に噴出しますが、逆さまにするとガス缶内での気化を待たずして強制的にガスを缶の外に噴出されることが可能になるのです。ようするに外気温度に左右されずに気化できるわけで、寒さに強いってことです。
で、液体燃料(ガソリン、ホワイトガソリン)も使えることでさらに寒さに強く汎用性を高めています。
そしてスリ鉢状のゴトクで風にも強く、まさに風が吹く極寒の地の野外で調理をしたい人にはこれしかないというアイテムです。
しかも分離型にしては軽量コンパクト。
でもイグナイターは付いてないし、僕はここまでの過酷な山行や冒険はしないのでオーバースペックかなと思いますね…。値段もお高いですし…。
あとガスは逆さにして強制的に気化させるとガス消費が早いので注意ですよ。





なんやかんや紹介しましたが、僕のオススメはEPIgasのAPSA-Ⅲストーブですね。APSA は「アルパイン・ストーブ・オート」の略です。
まず、安定感重視でコンパクト性は二の次です。とにかく低重心ですので信頼感はかなりあります。
ホースも長いので500gの缶(大きい缶)も使えます。
最高出力4,000kcalと火力も高いので雪を溶かして水を作るのもお手のもの。
手元の調節バルブの側に点火装置のスイッチが付いてますので楽々点火。山では燃料の節約も重要ですので、一回沸騰したら火を止める、冷めてきたらもう一度点火なんてことはよくあります。このときに鍋の下に手を突っ込んで点火なんてしなくていいのが助かります。
正直言って見た目は古くさくてSOTOのやうな新鋭メーカーに比べたらダサくて、単純すぎるほどのつくりですが、その分、タフに使っても壊れないのです。
学校山岳部や社会人山岳会ではお馴染みのモデルでもあります。



20180106162639_IMG_4533
20180106164431_IMG_4537
20180106164528_IMG_4538
結局、「シンプルイズベスト」ということでしょうか。



おわり

2018年4月10日



にほんブログ村