
最近日帰りで山に行く機会が続いたこともあって、むかーし昔に買ったドイターの「スペクトロAC32」というザックを引っ張り出しました。あらためて見ると良いザックだな…おい…ということで、今回はコイツをレビューします。
スペクトロAC32の特長
僕が社会人になりたての8年前、日帰り山行用ザックを持っていなかったので、スペクトロAC32を購入しました。
そのときの選定条件として、
- 日帰り程度の容量であること(30L程度)
- 雨蓋を開けなくてもフロントからザック内部にアクセスできること
- 背中が蒸れにくいこと
がありました。
当時、これら3つの条件を満たすザックがスペクトロAC32だったわけです。
また、購入条件ではありませんでしたが、その他にスペクトロAC32の特長の一つとして、軽量なことが挙げられます。
ここがスゴいよ、スペクトロAC32 その①
まず、条件のひとつめ「日帰り程度の容量」と条件ふたつめの「フロントアクセスできること」を両立しているザックがほとんどありません。
というか、はっきり言って、日帰り程度の容量で内部にフロントアクセスするメリットがあまり無いから、そういうザックが無いんだと思います。60リットルとか100リットルのザックならザックの奥にパッキングしたものを取り出すために、ザックの横とか表から内部にアクセスできたら楽な場合も多々ありますね。
でも僕は日帰り程度の容量のザックでも、簡単に中の物を取り出したいんです。なくても大丈夫だけど、僕はあったほうが楽な機能だと思うんです。
スペクトロAC32はザックのフロントパネルがU字にジッパーでジョイントされており、ジッパーを全開するとザック内部が人体模型のようにパカッとさらけ出されます。
ここがスゴいよ、スペクトロAC32 その②
スペクトロAC32の背面はメッシュとなっており、ザック本体との間には手入れられるくらいの隙間もあって気性抜群です。内部のフレームの他にワイヤー状のフレームがクロスすることで、メッシュにテンションを与えて背面構造体としています。
今ではこの背面メッシュ構造のザックって結構ありますが、当時(2010年くらい)は少なかった気がします。
日帰りの山行はどうしても標高の低い山に行きがちです。そうすると気温も高くなって汗も大量にかきますので、このメッシュ構造は大変効果があります。
軽さもスゴいよ、スペクトロAC32
他にもあらためて見ると「良いなあ」と思う点をあげると、軽量化と背負い心地の両立を真面目に目指しているところです。重量は1,080gで、フレーム有りのザックだとかなりの軽量を実現しています。
軽量化をしていると感じられる点は、各調節ストラップなどが他のモデルと比べると細なってる点、余計な小物入れスペースを省いている点です。
雨蓋の中や裏のポケットや、ヒップベルトポケットはありません。さらに、トップ入り口を絞る生地が最小限になっています。荷物を最大に入れると口が開いた状態になってしまいますが、雨蓋があるので問題ないということでしょう。
軽量化をしつつ背負い心地(フィット感)に妥協してないと感じられる点は、ショルダーハーネスとヒップベルトです。
ショルダーハーネスは薄くて軽量でありつつも、ハニカム構造でクッション性を持たせています。ヒップベルトも薄いながらも幅広でしっかり骨盤をホールドしてくれて、荷重を分散します。この背負い心地に妥協しないというところが、ドイターらしいなあと思いますね。
フレームが入っていないウルトラライト系ザックは50リットルクラスでも1,000gを切るのが当たり前ですが、しっかり背負いたいけど軽量化もしたいファストパッキングにはスペクトロACのようなザックがちょうど良いです。
フレームが無いウルトラライト系ザックは重い荷物を入れるとバランスが崩れやすく、逆に重さを感じやすくなり疲れてしまいます。そこのところを考えてザックは選んだ方が良いですね。
ちなみにこのスペクトロACを購入した2010年当時は、ウルトラライトやファストパッキングなどはほとんど普及してませんでした。
残念ながら販売終了…
お店でスペクトロ最近見ないな~と思ったら、販売が終了しておりました…。
ドイターはトレッキングモデルかクライミングモデルに特化してますし、いまやハイキングモデルなら雨蓋無しのデイパックタイプが主流となっています…。
ファストパッキング的な位置づけのスペクトロACはドイターでも異端だったのかな…と思います。
しかしながら、スペクトロACと似たようなザックは現在他社からも出てますので、それもおすすめです。
たとえば、GREGORY(グレゴリー)のズール35(男性用)、ジェイド33(女性用)はスペクトロACと同様に背面メッシュを張った構造(クロスフロー・サスペンション)を採用しています。重量は1,420g(ズール35Mサイズ)と普通ですが、使い勝手は良さそうです。
スペクトロAC同様にフロントからガバッとザック荷室内部にアクセスが出来ます。
重量を除けば、ほぼスペクトロACの持つ機能を持ち、それを上回っていると言えます。さすがグレゴリー。
他に、OSPREY (オスプレー)のエクソス38(男性用)、エイジャ38(女性用)も良さそうです。
背面構造が抜群の通気性を生み出し、高い軽量化も実現しているのがポイントです。容量は結構ありますが、重さ1,160kg(エクソス38Mサイズ)と軽量です。
ただ、フロントからのザック内部へのアクセスは出来ないようです。
ドイターのフューチュラシリーズがスペクトロACの後継と言えます。背面がメッシュでエアコンタクトシステムの通気性はそのままに、荷物がより多く入れられます。その分本体重量も増えてます。
ノースフェイスのFPはウルトラライトザックに近い作りでありながらも、背面がメッシュです。しかし、やや剛性に劣る印象です。
これらのザックは日帰り山行から小屋泊、さらには軽量化すればテント泊(ツェルト泊)まで対応できそうです。とりあえず富士山登山という人にもおすすめです。
おわり
2018年6月30日
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