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今からおよそ9年前、時は2009年、僕がまだ大学生のときのことです。ひょんなことからとあるイベント運営に携われることになりました。そこで日本が誇る世界的アルパインクライマーの山野井泰史さんと出会ったのです…。


学生向けの山イベント

きっかけは学生向けの山イベントでした。僕と同じアウトドアサークルの同期が、別で某北アルプス山小屋の関係者であるIさんと同じサークルに所属していた関係で、Iさん主催のイベントの手伝いをさせてもらうことになりました。

学生向けの講演会で、趣旨は山関係の活動をする学生が大学の垣根を越えて交流しようというものでした。

そこに講師として招かれることになったのは、まさかまさか、アルパインクライマー界の世界的超ビッグスターである山野井泰史氏でした…!!

僕はアルパインクライミングはやりませんが、山野井さんは山に携わる全ての人のレジェンドですから、憧れますよね。


※山野井泰史さんについてご存知ない方は、その偉業についてググっていただければと思います。
※2021年10月28日追記: 山野井さんが世界で13番目、日本人初となる「ピオレドール賞」の「生涯功労賞」を受賞しました。



山野井さんとの邂逅

講演会当日、偶然にも僕は山野井さんとの待ち合わせ場所で一人待機することになってしまいました…!

山野井さんがいらしたら近くのファミレスまでお連れして、そこで打ち合わせ…ということでした。

僕は打ち合わせには参加せず、会場設営や受付をやらなければならなかったので、山野井さんと僕が接触できるチャンスはここしか無いと思いました…。

山野井さんらしき人が待ち合わせ場所に現れたときは、ドキドキでした。「あ、あの人…多分あの人だ見たことあるお顔…指無いし…

そして…挨拶を済ませると、僕はここぞとばかりに、あらかじめ持参した『垂直の記憶 岩と雪の7章』を取り出して、

「サっ…サインを下さい…!」

とキモオタのごとく言ってしまいました…。

言ったあとに「山野井さん指ほとんど無いけどサインを頼むのは失礼だったろうか…」と一瞬後悔しましたが、そんな心配をよそに、山野井さんは快くサラサラとサインを書いてくださりました。

垂直の記憶―岩と雪の7章









山野井 泰史




ギャチュンカンの話を中心に講演

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山野井さんは有名なギャチュンカンでの決死の脱出劇を中心に色々なお話をしていただいたのを覚えています。

そのほとんどは『垂直の記憶 岩と雪の7章』と同じ内容であり、とても過酷なものなんですが、本人は飄々と語るので、それもまたスゴいなあと、ひたすら圧倒されました。

奥さんの妙子さんとのギャチュンカンでの命がけの登攀・下降は沢木耕太郎の『凍』でノンフィクション小説として克明に描かれており、こちらもお勧めです。

凍 (新潮文庫)
沢木 耕太郎
新潮社
2008-10-28




また、山野井さん自身の登山観と死生観については『アルピニズムと死』によく書かれています。




山野井さんは気取った感じは全くなく、素朴と言うか、純粋無垢な人という感じで、透明感を感じさせる人柄でした。


実は、今でもたまに某登山用品店でお見かけすることもありますが、熱心に山道具をご覧になっていて、山へのひたむきさを感じます。

というわけで、サイン入りの本は今でも我が家の家宝となっております。



おわり
2018年7月2日
2021年10月28日更新