「山でナイフはいらないじゃないか?」という意見について色々考察してみる。



登山でナイフをどう使っていますか?

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以前、Twitterで僕が以下のような発言をしたことで、このときのタイムライン上で様々な「山とナイフ」に関する話が湧いてきたので僕の考えをまとめてみる。

登山と言えば、アウトドア。アウトドアと言えばナイフ。とお考えの人も世の中には少なからずいると思う。しかし、何故ナイフなのだろうか?皆さん山でナイフ使ってますか?



登山にナイフを持っていく理由


  そう、僕が考える登山でのナイフの用途ベスト1は自炊での包丁的な利用だ。野菜切ったり肉切ったりするにのに必要だろう。沢登りで釣った魚をさばくときや、山菜を採るときなどにも活用される。

特別な状況でナイフが必要な状況としては、また、クライミング時で緊急時にロープやスリング、ザックのベルトなどを切るときだ。雪山登山をする際にもテント内で雪崩に巻き込まれた際に圧迫から自己脱出するためにナイフを用いることもある。

さらに例外的状況として、エマージェンシー(緊急)時のサバイバル用途がある。焚き火の火種をつくったり、火花を飛ばしたり、木を削ってペグを作ったり、山菜を採ったり、または寝床を作るのに木を切ったり、削ったり。緊急時のナイフの用途は無限だ。

しかしそう言った用途で使うには前提としてサバイバルテクニックの知識が必要だ。

それに、山では何が起こるかわからないと言えども、日帰りのイージーなハイキングかつ、リスクをしっかり分析できているならナイフは少し大袈裟な気もする。

ナイフは野外活動において有効なシーンは多々あるが、果たして登山者の中で、ナイフ本来の用途を理解してる人はどれくらいいるのだろうか。それらを理解していない限り、ナイフを山に持っていくことの正当性が無いように思えてくる。

かつて昭和時代の山岳会で言われていたような「ナイフは首からぶら下げておけ」という言い伝えの本来の目的は、令和の時代では忘れ去られ、「ナイフを持つ」という結果だけが残っているのではないだろうか。



山でナイフを所持することの正当性


登山でのナイフの所持を否定するつもりは無い。有効に使える手立てはあるし、ナイフが無いと生存が厳しくなる状況もありうるので、エマージェンシーギアとしては超優等生だ。

しかし、現代の整備されきった登山道を歩き、山小屋の恩恵に与っている登山者に本当に必要なアイテムだろうか?しかも昨今の登山者はカジュアルに、ファッション感覚でナイフを持ち歩く人も多いのではないだろうか?という疑問がある。

結局、用途が自分のなかで明確でないままナイフを持っていてもただの銃刀法違反や軽犯罪法違反で御用となるリスクがあるだけだ。

銃刀法では刃渡り6㎝という規定があるが、実は6㎝以下でも如何なる刃物を不要に持ち出すと軽犯罪法に引っ掛かる。つまりどんな小さなマルチツールのナイフだろうが、正当な理由がないとアウトなのだ。

山の帰りに不幸にもお巡りさんにナイフを持っていることが見つかり、「これ何に使うの?」と聞かれて、

登山者「もしものときに…」

お巡り「もしもってなに?護身用?」

登山者「いや、えっと…サバイバルとか?」

くらいの返答しかできなくて、山での用途が理路整然と言えないのであれば、下手をすれば犯罪者扱いになってしまう。そういう人には持ち歩く必然性はないのではあるまいか。



ナイフを持っていかないという選択肢はあり?

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とは言え…ちゃんとポリスメンに対して「山での遭難時にこんな風に役に立つんです」と説明さえ出来れば、アウトドアシーンは唯一ナイフを持ち歩く正当性がある場なのである。

しかしながら…正直僕のやっているハイキング程度では食事関係以外の用途でナイフを使ったことがほぼ無い。強いて言えば足のマメをつぶしたりくらいだろうか(それも安全ピンで十分だが)。

それでも「何かあるかもしれない」という気持ちと、「持っていることがかっこいい」という気持ちだけでマルチツールのナイフを今まで所持してきた。

しかし、残念なことにマルチツールの小さなナイフではサバイバル用途ではさほど役立たない可能性がある。

つまり、緊急時を考えなければハサミだけで十分なのだ。職務質問でややこしくされる心配もない。その代わり、ハサミとプライヤーは役に立ちそうなので、エマージェンシー用のマルチツールもナイフは無しでプライヤー、ハサミメインのものにシフトしていきたいと考えている。

ハサミ、これは利用頻度が高い。食品の袋を開けるところから、包帯やテーピング、衣類のカットなど、細かい作業には欠かせない。これをナイフでやるのは逆に難しい。

プライヤーはいるのだろうか?と思う人もいるだろうが、僕はあったほうがいい気がする。過去に一度、缶詰を開ける際にミスって詰んでしまったことがあり、プライヤーがあればすんなり開けられたのではと思っている。また、それ以外にも
  • テントポール、クッカー、ストーブなど金属製ギア類の変形を直す応急的修理
  • 熱い調理器具の鍋つかみ
  • 怪我など何らかの原因で手に力が入らなくなってしまったときの力作業、つかむ作業
などにも有効と考えられる。

つまり、何が言いたいかと言うと、レザーマン(leatherman)のスタイルPSが欲しいのだ。



プライヤーがメインの構造で、ナイフが無い代わりに折り畳みのハサミが付いている。あとはヤスリとドライバー、ピンセット、栓抜き(カラビナ兼用)である。

そうは言ってもナイフは万能で、少しでもリスクが潜在すると思う山行には別途ナイフがあるといいだろう。ロープ、スリング等のカットが出来るよう、波刃(セレーション)ナイフが望ましい。また、自炊用としてオピネル#8のようなグリップ感が良いナイフもおすすめ。まあ僕はオピネル持ってないんですけどね(笑)。




闇雲に「とりあえず山にはナイフ」ではなく、用途とリスクを考え、それに応じてナイフを持つか否かを選ぶことが大事だと思う。



おわり
2019年6月4日

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