長野県上田市の街の北側に聳える太郎山は、「市民の山」として地元の人々に親しまれている。そんな太郎山について、とうとうこのブログで語るときがきた…。
太郎山といえば、栃木県に太郎山(たろうさん)という標高2,368mの山のほうが日本三百名山だし、有名かもしれない。でも僕は栃木のほうはよく知らない。
僕にとっての太郎山と言えば、信州上田の太郎山だ。読みは「たろうやま」、標高は1164m、信州百名山のひとつに数えられている。
逆さ霧という山の上に雲を被ったような現象も有名。
個人的な見所は、山頂の景色はもちろん、多様で美しい樹木の植生だ。僕は樹木に詳しいわけではないが、人工的なスギ林は無く、原生林的なブナとかマツの木々が広がっているのが良い。
僕と太郎山の出会いは2017年の春、色々な縁があって上田に来たときのこと。地元人曰くどうやら上田市民の山と言えば、太郎山らしい。そのとき少し空き時間が出来たので登ってみたのだ。
表山道登山口
太郎山へ公共交通で行くには、市内循環バスを使うのだが、これは登山口までは行ってくれない。「山口」という地名のあたりから歩いてアプローチするしか無いのだ。Googleマップをたよりに、このときはポピュラーな「表参道」から入った。
所詮は低山と思ってなめて登ると、初登山者は少々面食らうかもしれない。登山道は歩きやすくはなっているが、露岩も多く、傾斜も総じて急である。低山とは言え、なかなか登り応えがある。
僕が初めて登ったときは、スカルパのアプローチシューズで登った。ローカットのスニーカーでも気軽に登れる。
表参道(表山道)には「道しるべ丁石」というものが一定間隔で設置されてる。これはどれくらい登ったかを知らせてくれるとても便利な代物であると同時に、「まだまだ先はあるよ」という現実を教えてくれる鬱陶しいものでもある。一丁石は登山口よりも少し手前の車道にあり、登るにつれて数字が増えていく。
僕は一番最初に登ったときは事前知識ゼロだったので、この丁石は十くらいで山頂に至るだろ…と考えていたが、それはかなりの間違いであった。
実際…十丁丁石を過ぎても山道は続いていく。まあこれで山頂なら確かに早すぎると思いながら歩を進める。そして結構登ったな~というところで、石の鳥居か現れる。これはもうほぼ山頂かなと思ってたが、そこはまだ中間地点に過ぎなかった。
赤い大鳥居まで来ればあと少し
このラストの石段の上ですら本当の山頂ではない
さらに登り続けると、赤い大きな鳥居が現れる。便利なことにここにはトイレがある。後述する裏参道の分岐もここである。
今度こそ山頂かな?思いながら、石の階段を登る。すると神社の社があり、展望台もある。やった!山頂だッ!太郎山、完!!と思ってあたりを見回すも山頂標識が無い。まさかと思ったが、「この先山頂」の道標を発見。なかなか山頂に立たせてくれない太郎山。
春先の太郎山山頂からは北アルプスがよく見える
盛夏の太郎山山頂
山頂から上田市街を望む
元旦の太郎山山頂から富士山を望む
神社から山頂は数分の距離なのだが、少し登り返しがある。神社から山頂までの巻き道には屋根付きの休憩所がある。
辿り着いた山頂は気持ちのいい草原で、上田市内が一望できる場所だ。山頂から北アルプス(穂高連峰〜五竜岳)はもちろん、なんと富士山までが見えるので、関東の富士見100景に選ばれている。太郎山から富士山は結構遠いので驚き。
ちなみに表参道のだいたいのコースタイムは登り:1時間~1時間30分、下り:40分~1時間くらいではないだろうか。健脚度合いによって大分変わると思うが。
この表山道の他に、「裏参道」も存在する。この道の入り口は山道の登山口からさらに林道を沢沿いに登ったところにある。道幅は広く、軽トラが走れるくらいの道だ。途中で水場もある。
しかし山の木々の表情をよく見たいなら表参道のほうがおすすめ。
表山道中間の石の鳥居には「太郎山神社」と書いてあったのだが、「山」の字がなんだかおかしいのが気になった。てか「山」に見えない。地図では太郎山神社なのだが。
「坐」のようにも見えるがよく見ると違う。ネットで調べてみたらどうやら「山」の異体字のようだ。「人」という字が使われているが山が連なる様を象形した文字のようだ。
そんなに山が連なっているとは言えない太郎山において、なぜこの漢字が使われているのかはわからない。でも普通に「山」とか書かれるより霊験あらたかな雰囲気がある。
太郎山の表山道は標高約590mをひたすら登るコースだ。太郎山自体、市街からのアプローチが良いわりにタフな山道があり、距離も程よい。レースには最適なのかもしれない。
今のところ、このレースに出る予定は無い。が、年数回登るようになったので、地味に自己ベストタイムを縮めていって、いつかはレースに…という気持ちが無いわけでも無い。頑張ろう。
毎日登山ともなるともはや信仰の空気が強くなる。僕みたいにサクッと走って鳥居を潜るヤツの脇で、おじいさんは深々と鳥居に礼をしていたりする。健康のためとか、回数を自慢するとかじゃなくて、もっと生活に根付いた何かを感じる。畏れ多いことだ。
当然ながら元旦の初日の出はメチャクチャ人が登る。
太郎山には、純粋に宗教儀式的に登る人もいれば、レースのトレーニングで登る人もいる。健康増進のための人もいるだろう。普通にピクニックのために登る人だってたくさんいる。休日は子供も見かける。良い山である。
というわけで「信州上田の太郎山においでよ」というお話でした。最後に表参道登山道のダイジェスト動画を貼っておきます。
おわり
2019年8月23日
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信州上田の山と言えば太郎
太郎山といえば、栃木県に太郎山(たろうさん)という標高2,368mの山のほうが日本三百名山だし、有名かもしれない。でも僕は栃木のほうはよく知らない。
僕にとっての太郎山と言えば、信州上田の太郎山だ。読みは「たろうやま」、標高は1164m、信州百名山のひとつに数えられている。
逆さ霧という山の上に雲を被ったような現象も有名。
個人的な見所は、山頂の景色はもちろん、多様で美しい樹木の植生だ。僕は樹木に詳しいわけではないが、人工的なスギ林は無く、原生林的なブナとかマツの木々が広がっているのが良い。
太郎山との邂逅
僕と太郎山の出会いは2017年の春、色々な縁があって上田に来たときのこと。地元人曰くどうやら上田市民の山と言えば、太郎山らしい。そのとき少し空き時間が出来たので登ってみたのだ。
表山道登山口
太郎山へ公共交通で行くには、市内循環バスを使うのだが、これは登山口までは行ってくれない。「山口」という地名のあたりから歩いてアプローチするしか無いのだ。Googleマップをたよりに、このときはポピュラーな「表参道」から入った。
所詮は低山と思ってなめて登ると、初登山者は少々面食らうかもしれない。登山道は歩きやすくはなっているが、露岩も多く、傾斜も総じて急である。低山とは言え、なかなか登り応えがある。
道しるべ丁石の罠
表参道(表山道)には「道しるべ丁石」というものが一定間隔で設置されてる。これはどれくらい登ったかを知らせてくれるとても便利な代物であると同時に、「まだまだ先はあるよ」という現実を教えてくれる鬱陶しいものでもある。一丁石は登山口よりも少し手前の車道にあり、登るにつれて数字が増えていく。
僕は一番最初に登ったときは事前知識ゼロだったので、この丁石は十くらいで山頂に至るだろ…と考えていたが、それはかなりの間違いであった。
実際…十丁丁石を過ぎても山道は続いていく。まあこれで山頂なら確かに早すぎると思いながら歩を進める。そして結構登ったな~というところで、石の鳥居か現れる。これはもうほぼ山頂かなと思ってたが、そこはまだ中間地点に過ぎなかった。
赤い大鳥居まで来ればあと少し
このラストの石段の上ですら本当の山頂ではない
さらに登り続けると、赤い大きな鳥居が現れる。便利なことにここにはトイレがある。後述する裏参道の分岐もここである。
今度こそ山頂かな?思いながら、石の階段を登る。すると神社の社があり、展望台もある。やった!山頂だッ!太郎山、完!!と思ってあたりを見回すも山頂標識が無い。まさかと思ったが、「この先山頂」の道標を発見。なかなか山頂に立たせてくれない太郎山。
山頂が素晴らしい太郎山
春先の太郎山山頂からは北アルプスがよく見える
盛夏の太郎山山頂
山頂から上田市街を望む
元旦の太郎山山頂から富士山を望む
神社から山頂は数分の距離なのだが、少し登り返しがある。神社から山頂までの巻き道には屋根付きの休憩所がある。
辿り着いた山頂は気持ちのいい草原で、上田市内が一望できる場所だ。山頂から北アルプス(穂高連峰〜五竜岳)はもちろん、なんと富士山までが見えるので、関東の富士見100景に選ばれている。太郎山から富士山は結構遠いので驚き。
ちなみに表参道のだいたいのコースタイムは登り:1時間~1時間30分、下り:40分~1時間くらいではないだろうか。健脚度合いによって大分変わると思うが。
その他の登山道
この表山道の他に、「裏参道」も存在する。この道の入り口は山道の登山口からさらに林道を沢沿いに登ったところにある。道幅は広く、軽トラが走れるくらいの道だ。途中で水場もある。
しかし山の木々の表情をよく見たいなら表参道のほうがおすすめ。
他にも愛昇殿という斎場の裏あたりから道があったり、地元の人の道や古城跡を巡る道だったりがあるわけなんだが、詳しくは謎である。いずれも国土地理院の地図には記載がない。僕が知らないだけなんだが。そういう道もこれから開拓してきたい。
太郎山神社石鳥居の謎
表山道中間の石の鳥居には「太郎山神社」と書いてあったのだが、「山」の字がなんだかおかしいのが気になった。てか「山」に見えない。地図では太郎山神社なのだが。
「坐」のようにも見えるがよく見ると違う。ネットで調べてみたらどうやら「山」の異体字のようだ。「人」という字が使われているが山が連なる様を象形した文字のようだ。
そんなに山が連なっているとは言えない太郎山において、なぜこの漢字が使われているのかはわからない。でも普通に「山」とか書かれるより霊験あらたかな雰囲気がある。
太郎山登山競走
太郎山では太郎山登山競走(上田バーティカルレース UEDA VERTICALS RACE)というスカイレースが毎年5月に行われており、トレイルランニングやスカイランニングの盛んな場所でもある。全国、世界から脚力に覚えのある猛者たちが上田に集ってくるが、地元の人はほとんど気にしてない。物好きの集団登山くらいにしか思っていないだろう…。本当はすごいことなのに。太郎山の表山道は標高約590mをひたすら登るコースだ。太郎山自体、市街からのアプローチが良いわりにタフな山道があり、距離も程よい。レースには最適なのかもしれない。
今のところ、このレースに出る予定は無い。が、年数回登るようになったので、地味に自己ベストタイムを縮めていって、いつかはレースに…という気持ちが無いわけでも無い。頑張ろう。
地元の人々の生活のなかにある太郎山…
こういう地方の低山にはありがちな毎日登山の人も存在する。ほぼ山頂の神社には登山者名簿があり、そこで登頂の証明が出来るのでちゃんと正確なカウントが可能だ。毎日登山ともなるともはや信仰の空気が強くなる。僕みたいにサクッと走って鳥居を潜るヤツの脇で、おじいさんは深々と鳥居に礼をしていたりする。健康のためとか、回数を自慢するとかじゃなくて、もっと生活に根付いた何かを感じる。畏れ多いことだ。
当然ながら元旦の初日の出はメチャクチャ人が登る。
太郎山には、純粋に宗教儀式的に登る人もいれば、レースのトレーニングで登る人もいる。健康増進のための人もいるだろう。普通にピクニックのために登る人だってたくさんいる。休日は子供も見かける。良い山である。
というわけで「信州上田の太郎山においでよ」というお話でした。最後に表参道登山道のダイジェスト動画を貼っておきます。
おわり
2019年8月23日
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