エマージェンシーキットの中身紹介シリーズ第三弾はヘッドランプの見落としがちなトラブルについて。



山でヘッドランプは大事だよ

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ヘッドランプ(ヘッドライトとも)、山ヤの通称は「ヘッデン」。ちなみに僕が所属していた大学サークルでは「へ電(ヘデン)」と呼んでいた。僕はこのヘデンは登山でも最重要アイテムのひとつだと思っている。

ヘッドランプは泊まりの登山ならばエマージェンシー装備ではなく標準装備だ。だが、ここではあえてエマージェンシー装備としてカウントしたい。それくらい緊急時に活躍するアイテムであり、緊急時に無いと致命的なアイテムなのだ。

山は昼間晴れているときは、気分を清々しくさせてくれる。しかし、ひとたび日が暮れて暗闇につつまれると本当に心細い気持ちにさせてくれる。

皆さんは夜の山を歩いたことがあるだろうか。僕は夜間歩き通すような「ナイトハイキング」はしたことはないが、完全な夜明け前の山や、夕暮れの山は歩いたことはある。夜の山は月明かりがあれば多少は視界が効くが、それが無ければ真の闇である。特に樹林帯の中や、曇りやガスのときは尚更だ。



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僕の実体験を話そう。3泊の屋久島縦走のときである。初日からヘッドランプの電池残量がほぼ無いという緊急事態をやらかした。そのときは単独行で、よりによって予備電池も忘れるという失態。小屋は全て無人の避難小屋なので電気も無し。夜のトイレや小屋の中ではかなり不便だった。



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残り少ない電池で一瞬照らしては手探りでパッキング…を繰り返す。人間は灯りが無いと行動が大幅に制限される。夜目なんて本当の闇の中では利かない。避難小屋泊だったから何とかなったものの、もし夜間行動中にヘッドランプが使えなくなってしまったら…そこで夜明けを待つしか無いだろう。

日帰り登山でも、予想外のトラブルで下山が遅れ、日が暮れてしまうことも想定される。そんなときにヘッドランプが無いと致命的だ。

山の夜は暗黒だ。そんな状況で登山道を下るリスクは計り知れない。仮にビバークを決断するとしても、ヘッドランプが無いまま暗闇の中でビバークの準備をして、夜を明かすのは肉体的にも精神的にもかなりキツい。




以前の記事でも、山でビバークをするときは、火を起こせるようにしたほうがいいと書いたことがある。闇は古来より人類の敵であり、火=灯りは人類の有史以前から闇に対抗する唯一の手段なのだ。



ヘッドランプにありがちなトラブル

ヘッドランプの重要性をご理解いただいたところで、ヘッドランプのメンテナンスの重要性も是非お知らせしたい。

ヘッドランプは山では命綱であり、たとえ持参していても山で使えないという事態に陥ることは避けなければならない。そのためには定期的な不具合の確認が必要だ。では確認のポイントはどこなのか?

ヘッドランプによく起きるトラブルとしては
  1. 電池切れ
  2. 破損
かある。

①電池切れは一番ありがちなトラブルだ。出発前に新しい電池に交換しても、ザックの雨蓋の中でスイッチがONになりっぱなしで電池を消耗することもよくある。ハードケースに入れるか、ロック機能のあるヘッドランプがオススメだ。前述の僕のようにならないために、予備の電池は必携である。



ヘッドランプの保護、誤作動防止のためのハードケースに、ランタン機能を兼ね備えたもの。


また、電池の液漏れの心配もある。液漏れの無いボタン電池採用の超小型軽量ヘッドランプもあるので、緊急用でエマージェンシーキットに忍ばせておく人もいる。僕の場合、軽さよりも明るさを選ぶので通常サイズを持ち歩く。









ボタン電池は液漏れしにくいのでザックに突っ込みっぱなしでも安心だ。


②次に破損だ。僕はヘッドランプを3個持っている。2006年に買ったもの、2009年くらいに買ったもの、2011年くらいに買ったものがある。破損については、この経験から電気系統が壊れることは少ないと思われる。少なくとも有名メーカーのちゃんとしたものならば大丈夫だ。

破損については事項で詳しく書いてみる。



空中分解するヘッドランプ!

結論から言うと、ヘッドランプで一番破損しやすいのは本体を構成する樹脂製のパーツだ。塩ビ樹脂は必ず経年劣化する。最悪の場合、ヘッドランプは勝手にバラバラになるのだ。



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もうひとつ僕の実体験を話そう。この記事を書く前、僕は2006年に買ったヘッドランプ【ペツル(PETZL) ティカ(TIKKA)】を、5.5㎞のナイトランで久々に使用した。電池込みで80gと我が家のヘッデンの中では軽量選手である。

我が家の回りは田舎なので街灯の無いトレイルがある。ヘッドランプが無いと結構怖い。そこでアクシデントは起きてしまった。

序盤こそは調子が良かったが、だんだんバンドが緩みはじめ、本体の揺れが大きくなってきた。ゴムバンドの緩みも経年劣化の症状のひとつだ。

走りながらまたバンドと角度を調整しようとヘッドランプに触れたら急に電池カバーが外れてしまった。当然電池はバラバラと地面に落ちた。まさに空中分解だ。道が平坦で広かったのと、手に触れたときにバラけたのでワンクッションあったせいか、電池はさほど散乱せずに済み、全て回収できた。



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家に帰って見てみると樹脂にヒビが入っている。実はヒビがあったのは知っていたが、まだ使えるだろうと思っていた。だがおそらくはこのヒビが原因で電池カバーとのはめ込みが甘くなっていたのだろう。そこに振動が加わり、分解したのだ。もしこれが山中で起きたとしたらと想像するとゾッとする。



ヘッドランプは消耗品である

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他の二つのヘッドランプの劣化状況もお見せしよう。まずは2008~2009年くらいに買ったペツル(PETZL)のティカXP(TIKKA XP)だ。電池込みで96g



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こちらは電池カバーのツメが折れてしまった。アロンアルファで補修したが、薄い上に力がかかる部位なので完全に直すことは不可能だ。まだ使えるは使えるが、突然バラけたりする可能性は十分にある。



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次に2011~2012年くらいに買ったブラックダイヤモンド(BlackDiamond)のストーム(storm )。当時としてはかなり高性能のモデルだった。電池込みで115g



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このヘッドランプは電池カバーがネジ式になっており、分解の可能性は低い。ただ、ネジが抜けてしまえば一発でバラバラになるリスクがある。このストームもスイッチ付近の樹脂パーツが割れている。


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電池カバーの隙間のパッキンもボロボロだ。これでは本来の防水性が危うくなっている。完璧とは言い難い。ハードに使っていると5年~7年くらいでガタが来始めるようだ。



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ちなみにティカXPにはパッキンの劣化は無い。メーカーによってもつくりが異なる。



ヘッドランプの選び方と最近のモデル

ヘッドランプは経年で劣化するものである以上、消耗品とも言える。破損が見られたら無理せずに修理に出すか、新しいものを買ったほうが身の安全のためである。

ここでヘッドランプの選び方を、僕なりに考えてみた。

昨今はエマージェンシー用として軽量、コンパクトなものも多いが、基本的にはベーシックなサイズを選びたい。価格帯で言えば「松竹梅」の「竹」で、お店のなかで真ん中の価格帯のものを買っておけば間違いないだろう。

あまりにも小型でなければ、明るさ(ルーメン)はどこも似たようなものなので正直気にしなくても良いと思う。最近のは本当にどれも明るい。ちなみに2010年代初頭に買ったブラックダイヤモンドのストームは100ルーメンで当時最強と言われていたが、現行のストームは375ルーメンである。あきらかにパワーインフレが起きている。

電池カバーの取り外し易さ、外れ難さも確認しておこう。

あとは誤作動防止のロック機能の有無や、充電池対応、USB充電対応、などなど。赤色ライトが使えると、眩しさを感じさせないという効果がある。赤色ライトを使えば山小屋での早立ちの際に周囲に迷惑をかけずに済む。



Black Diamond(ブラックダイヤモンド) ストーム BD81089 ブラック

ストーム最新モデルは明るさのパワーアップに加え、電池カバーがレバーロック式になっており、堅牢さを感じる。

また、これは最新のブラックダイヤモンドのヘッドラップに共通だがボディ(スイッチ回り)がラバー素材になっている。このため、ヒビ割れのリスクは少ないと思う。かなり進化している印象。






明るさや性能では信頼のおけるペツルの定番モデル。最新のティカは300ルーメンで、僕のティカは何ルーメンか忘れたが、多分比べ物にならない。LEDの進歩は目覚ましい。

ただ、実物を見るとボディがパリッとしたプラスチック樹脂であり、割れるリスクはありそう。電池カバーもツメ式で、ブラックダイヤモンド製と比べて簡単に外れるのが気になった。



僕がエマージェンシー用として注目するモデル

メーカーはヘッドライトの二大巨頭、ペツルブラックダイヤモンドから選びたい。クライミング用品で有名なこの二社は、ヘッドライトの分野でも昔からリーディングカンパニーだ。


ペツル ビンディ

バンドを簡略化してコードにした軽量モデル。35gという驚異の軽量化を実現しつつ、200ルーメンと十分な明るさを発揮するので驚きだ。分解不可能なバッテリー内蔵で、電池がバラバラと落ちることは無い。ただし、USB充電専用である。もちろんロック機能もあるし、3段階調光と赤色光が使える。


ブラックダイヤモンド スポットライト160



スポットというスタンダードモデルのコンパクト版。それでも明るさは160ルーメンを誇る。点滅、調光(近距離・遠距離)、赤色光、ロック機能と一通りの機能をこなす。防水性も高い。単4電池使用なので汎用性は高いが、電池カバー可動部の破損リスクはある。重量は54gと軽量で、スポット(86g)よりも30g以上軽い。何より圧倒的コストパフォーマンスが魅力。

宿泊が前提の登山でも、よほど夜間の行動が長くない限り、このような軽量モデルで十分だろう。また、日帰り登山やトレイルランニングにおいて、エマージェンシーキットのひとつとしてザックに忍ばせておいても、負担の無い重さとサイズだ。

ヘッドランプは当たり前のような装備だからこそ、日々の点検は怠らないようにしたい。貴方のヘッドランプはどうですか?



おわり
2019年8月26日

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