あれは今からもう3年前、2016年の秋のことである。僕にとってはつい昨日の出来事だが、貴方達にとっては明日の出来事かもしれない…。



実は僕はその獣と接近したことは実は人生で一回しか無い(バスから見たことならある)。あまり人の入らない山には行かないからかもしれないが、幸運が強いだけなのかもしれない。

でもそんな幸運の元に生まれた僕のような人間でも、13年も山に通っていると一度くらいは出逢ってしまうものなのだ。遭遇場所は山ではなく、新潟の河川敷の無料キャンプ場だった。山に行く途中ではあったが…。



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2016年10月、大学の後輩と二人でレンタカーを借りて巻機山を日帰りで登って、翌日は八海山に登ろうとしていた。1日目、巻機山を終えて、適当に車中泊をするつもりだった。八海山にほどよく近くて、どこかいい場所は無いかと、道の駅や公園など適当な場所を探していたら、よさげな河川敷の無料キャンプ場を発見したのでそこに決めた。



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ナビに導かれて現地に着くと、そこはキャンプ場というより、河川敷の芝のグラウンドのような場所だった。普段はグラウンドとして多目的に使われているのだろう。端っこに申し訳ない程度のテーブルと炊事場、東屋が一棟あるだけ。当然僕ら以外に人はいない。周りはほとんど田んぼで普通に道路があり、建物といったら食品工場のような建物が点在するだけ。周りに山はあるが、山の中というわけではない。



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静かなロケーションが気に入ったのでここに即決し、買い込んでいた食料を広げて、二人してテーブルで酒盛りをはじめた。

すぐに夜は更けて真っ暗になった。周りに夜も明るい建物も少なく、電灯も無いので暗くなるとサッカー場のような広大な芝が、ただ夜の闇の奥に広がっていた。僕らはその一番出入口の、電灯があるところのテーブルで呑気に酔っ払いつつあり、この後テントを張ることを考えると、面倒だな、なんて思い始めていた。

ふと背後の芝の闇のなかに気配を感じて振り返った。

刹那、「ヴォッ」という唸り声とともに、僕のヘッドランプの明かりの中に、黒っぽい、四つん這いの生物の後ろ姿が照らされた。人間が四つん這いになったようなサイズに見えたが、おっさんが四足歩行をしていたわけではない。それ以上を確認する間も無く、すぐに闇に消えていった。近い。多分、距離2mくらい。

心臓がバクバク鳴り始めた。

熊だ…。

今考えると姿を丸々見てないので本当に熊かどうかわからないし、イノシシの可能性だってあるのだ。しかしそのとき僕らの脳は熊と断定した。多分一瞬だけ見えた動きが四つん這いで跳ねる様な感じであり、シルエットも丸みを帯びていて、それが熊のイメージに近かったんだと思う。多分熊だ。



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シルエットはこの剥製そっくりだった(これは小さい個体)

それは位置的には芝生の広がる闇の方からやってきて、僕の背後に近づいてきたことになる。後輩は遅れて気づいたが、照らされた一瞬ソレを見て、現れたのがただならぬモノだったことは感じたようだ。

彼は飯の匂いに惹かれて山から降りてきたのだろうか。幸いなことにこちらが気付くと文字通り尻尾を巻いて逃げてしまったが、あのまま気付かなかったらどうなっていたのだろう。一度食料に手を付けられていたら、はたして大人しく引き下がっただろうか…。



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一瞬にして酔いは醒めた。恐ろしくなった僕らは大急ぎで宴会を撤収した。本当はテントを張るはずだったが、クルマの中に避難して窮屈な一夜を明かした。

その後、幸いなことに、朝に至るまで熊の痕跡を見ることはなかった。




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熊対策は出会わないことが一番。ただ、人が多いところでは「熊鈴うるさいぞおじさん」に注意されるかもしれないので、消音できるタイプが便利だ。



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はたして素人がこのスプレーをどれほど的確に扱えるのだろうか?結構風に流れるのでかなり接近しないと効果は薄い。僕は大学時代にこれを持って大雪山縦走をしたが、何故かパーティ最後尾の僕が持っており、先頭で熊らしき影を見つけたとき、僕は逃げの体制にはいっていたw(影は岩だった)



おわり
2019年11月29日

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