僕はパッキングする際、どんな山行であれ、必携装備群がある。軽量化(UL化)を意識するようになってからは特にそれらの装備について吟味するようになった。


生存戦略を意識したUL装備

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日帰りのハイキングでも1泊以上の山でも、必携装備というものがある。基本的にこれらは削ることは出来ない。

しかし、なるべく軽い物に代替することで軽量化は不可能ではないと思っている。必携装備は用意しつつ、重量と嵩を削っていくという相反する行為をしていけば、自ずと「これだけあれば何とかなる」と言える装備が出来上がってくる。

そのためには山でのあらゆる状況で生存するために、戦略的に考えていくべきだ。単に軽いだけではなく、本当に必要なものは妥協せず、要らないものは削るという戦略的なUL(ウルトラライト)化を僕は目指したいと思っている。



トレイルランニングの装備に着想を得る

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ヒントになったのはトレイルランニングレースのレギュレーション(必携品)だ。しかしトレランレースだとその装備は形骸化しがちに感じる。

やはり道具は使う用途を理解してこそ意味を成してくると思っているし、僕はまずそこを大事にしたい。そもそも僕はランナーではなく山歩きの人間なので道具ありきで考えてしまう。速さや軽さの面からではなく、リスクの面から山を考えてしまうので、ちゃんと持ってないと不安になってしまう性分だ。山に潜むリスクを理解すれば、どんなに速く山を進みたくても、削ることが出来ない装備は必ずある。



①雨具(レインウェア)の上下

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身体を雨と風から守る必須装備。ゴアテックスもしくはそれに準じる耐水圧と透湿性を持った雨具であれば信頼が置ける。

僕の雨具は超軽量モデルのモンベル・バーサライトジャケット&パンツ。メンブレンはゴアウインドストッパーだが、縫い目をシームテープで目止めしてあるので雨具として十分すぎる性能を持つ。




②ヘッドランプ

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日帰りであろうが必ず持っていく。夕暮れ以降の山は闇につつまれ、視力を失うに等しい。万が一を考えたら日帰りであろうが持っていかないわけがない。

明るさとしては100ルーメン以上あれば十分な性能だし、軽量だ。予備電池も忘れずに。




③ファーストエイドキット

軽量化が一番難しい部門。有効な処置をしようと思えば思うほど薬やテープが増える。しかしあくまで応急処置であるということと、医療の専門知識のない自分が行える範囲を考えると、自ずとこれくらいで十分かな…という線引きが出来てくる。あと経験的に出番が多いものは切らさないようにするなど。

そういう試行錯誤の中で増えたり減ったりしつつ、この容量になった。バッグは赤い袋にするなど分かりやすいものが良いが、僕は透明のケース(無印良品)にすることで第三者にも分かりやすくした。

ファーストエイドの中身についての詳細はこちら



④エマージェンシーキット

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こちらも軽量化が難しい。何せ緊急事態用の道具たちなので、緊急事態に直面しない限りほとんど出番が無い。緊急事態に直面して初めて「あれがあったほうがよかったな…」などと思うかもしれない。ここは出来るだけ想像力を働かせていくしかないのだ。

とはいえ、普段の小さなトラブル、たとえばウェアやシューズの破損など…は起こりうるのでそういうものに対処する道具は必要だ。

ケースはファーストエイドと同様に透明のケースにして何が入っているか分かりやすくした。



⑤ナイフ

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山でナイフを使う機会があるのかと言われたら、ほとんど無いかもしれない。しかしひとたびサバイバル的状況に陥るとこれほど心強い道具はない。

だから果物ナイフのようなものではなく、サバイバルで有用な頑丈で握りやすいものをチョイス。モーラナイフのエルドリスは軽くて小さい割に非常に力強いナイフで、山向きだ。 




⑥トイレットペーパー

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人間の生理的なシステム「排泄」を完全にコントロールすることはできない。もちろんファーストエイドキットに「ストッパ下痢止め」は入れている。でも出る時は出るので削ることのできない装備。

ペーパーと、ペーパー持ち帰り用の特殊な防臭袋、穴掘り用のスコップを入れている。スコップはミゾーのモグでチタン製。袋がないなどでペーパーが持ち帰れないときはペーパーを燃やすライターも。



⑦ツェルト

ツエルトとも。非自立型のシェルター。予期せぬビバークで着の身着のままうずくまるより、たとえ薄い布一枚でも屋根や壁に囲まれていた方が安心感は計り知れない。もちろん安心感を与えるだけでなく、風や雨雪、寒さからも身を守る。

オレンジ色は救助隊からも発見されやすい色。生存のために持っておきたい。




⑧充電器

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いわゆるモバイルバッテリー。地図読みは紙地図が基本とは言えども、昨今のスマートフォンのGPS機能は目覚ましく便利になっており、現在地の確認はほぼ正確にできる。生き残るためにテクノロジーを利用しない手はない。

問題はバッテリー切れだ。バッテリーさえ切れなければ助かったということもあるかもしれない。そう考えるとこれくらい重くはない。

Micro-USBにLightningケーブルのアダプターをつけている。



言うなれば全てがエマージェンシーキットかもしれない

今あげた道具たちに水と食糧を追加すれば基本のパッキングの完成だ。これらベースとなる必携装備だけで5リットルのトレランザックに納まる程度。必要に応じて火器や防寒着等を足していく。

しかし、これらは言ってしまえば全てがエマージェンシーキットであり、必要に迫られなかったら使わない道具がほとんどだ。日帰り登山だとしたら、何事もなければ水と食糧以外をザックから出すことは無いだろう。

しかし山に入る以上、そこにはリスクが存在し、それを認識したならば、最低限の装備が必要であることに気づく。それは削ることが出来ない装備だ。最初は不安だから余計に持っていくかもしれない。でもだんだんと経験を積めば、自分なりにアレンジしつつ軽量化したり、増やしたり出来る。そうやって考え抜くことで、これらのベースウェイトを単なる重りと考えずに、生存戦略のための命綱そのものだと思えるようになる。

単にバッサリとウェイトを軽くするだけでなく、膨大な道具の中から生きるために必要なものだけを慎重に取り出していきたい。それはまるで一つの石の塊から彫像を彫り出すようなものだ。今年はそんなUL化を目指したい。



おわり
2020年1月8日

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