ガーミンのインスティンクト・デュアルパワーを手に入れて一週間ちょっと。山には行けてないが、本体をいじり、取説を眺めながら「登山でならどう使えるのか」ということを考えてみた。


山で基本のABC機能

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元々僕は10年以上、登山用の腕時計として、スントのコア(2008年モデル)を愛用しており、そこからの乗り換えという形でガーミンのインスティンクトを選んだ。


スントのコアは高度計付き腕時計という位置づけで、気圧計を元に現在地の高度を割り出していた。あと電子コンパス機能。つまり、山の基本機能Altimeter(高度計)、Barometer(気圧計)Compass (方位計)の三機能、ABC機能がメイン機能だ。ログ機能もあったが、全く使っていなかった。僕が山で重要視しているのはABC機能であり、これらの情報を手首から得られるだけでもかなりのメリットがあった。

ただ、スントのコアは気圧センサーからのみ高度を割り出している。そのため、やや不正確なことが多かった。もちろん気圧での精度はかなり良いものであったが、GPSという位置情報と比較すれば、GPSに軍配が上がる。

そういう意味でもGPSウォッチでABC機能を持っていると、現在地高度や方位といった情報がより正確になる。しかもABSボタンを長押しすることで方位、高度、気圧トレンド(上下の変化)が一覧で確認できる。スクロールで各データの詳細も一目瞭然だ。

しかもここ数年でGPS性能自体も飛躍的に向上している。そもそも「GPS」はアメリカの人工衛星を利用した位置測定システムのことだが、GPSのほか、日本の衛星「みちびき」、ロシアの「GLONASS」欧州の「GALILEO」を使用でき、GPS、みちびき、もうあと一つどちらかを併用可能で、かなり信頼度が高い。

スントから10年経っているので当然のテクノロジー革新といえばそれまでだが、この機能を得られるだけでコストパフォーマンスに優れた製品だと感じる。



山で便利なナビゲーション機能

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GPSウォッチで次によく使うのはアクティビティ(ランや登山など)のトラッキングログだろう。これは移動の軌跡を記録してくれるものだが、単なる記録だけならば、家に帰って見たり、SNSにアップするだけで終わってしまう。


山中において実用性が高いのは、アクティビティ実行中のGPSによるナビゲーション機能だ。簡単に言うと、現在地から目的地まで、方向、標高、距離、ポイント接近、ルート外れを知らせしてくれる機能である。ガーミンといえばGPSナビゲーション機器の名門なので、ウォッチモデルでもそこに変わりはない。

時計の画面上は地図が表示されるわけではなく、現在地と線のみルートの軌跡、目的地のマークが表示される。そのため地図の併用は必須だ。従来紙地図とコンパスを併用していたところ、コンパスが超進化したものと考えれば良いだろう。そう考えるととても便利だ。

ナビゲーションの種類はいくつかあって、例えばアクティビティ「登山」を実行中、途中で道に迷ったことに気づいたとする。その時点でナビゲーションの「スタート地点」を実行し、「トラックバック」を選択すれば、自分が来た道を戻るナビゲーションをしてくれる。正しい道に出たらナビゲーションは終了すればルート復帰が出来る。


多彩ナビゲーション機能

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予めコースをPCのGarmin connect やスマートフォンのGarmin connect mobileで作成、時計に取り組むことでそれを辿ることも可能。モバイルでもポイントをいくつか指定すればガーミンユーザーの人気ルートデータを基にルートを自動で繋いでくれるので簡単にコース作成ができる。


Garmin connectを使用せずとも時計本体のみを使用してポイントからポイントをつないでコースを作成できるし、ナビゲーションもできる。なんと予め本体に日本百名山全ての位置情報がインプットされているため、たいていの場合、登山口で現在地を指定し、山頂を指定することでコースができてしまうのだ。その他、ヤマレコなどの既製ルートもインポート可能らしい。

前もってコースを設定していなくても、「サイトナビ」で登山中に方位を指定して、その方位に向かうナビゲーションも可能。オープンスペースでホワイトアウト等が起きた場合、いわゆるリングワンダリングを防げる可能性が高まる。トレースの無い樹林帯で知らず知らずに進行すべき方向から外れていたなんていうことも防げるかもしれない。沢登りでの稜線への詰め上がりでもルートファインディングの助けになるかもしれない。

これらのナビゲーションは地図やスマホのGPSアプリでも行えるが、何より腕時計で確認するという容易さが最大の利点。手間を惜しまずこまめに確認することで、知らず知らずにロスト…という事態を回避できる。



日常で便利なライフログ機能

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光学心拍計が付いているため、心拍から様々なデータを取ることが出来る。




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ストレスを数値化した「ストレス測定」や、睡眠やリラックス時間から現在の残存体力を数値化した「ボディバッテリー」、その他一日の消費カロリー、歩数、上昇階段数などなど…。


また、スマートウォッチなので当然スマートフォンとBluetooth接続して、スマホの音楽再生の制御や、通知を受信できる。いちいちスマホを取り出さずに操作や情報の確認ができるのは便利だ。


優れたバッテリー寿命

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こうも機能が盛り沢山だとバッテリーの消費が心配になるが、このデュアルパワーは山でも安心して使えるレベルのバッテリーだ。


ソーラー発電が可能ということは大きなアドバンテージではあるが、それ以前にバッテリーのもちが良い。一日1時間程度のランニングをトラッキングするのであれば、それ以外は屋内で過ごしても一週間くらいは電池が持つだろう。

気になるソーラーの発電感度であるが、屋外ないし窓ガラス越しに直射日光に当てないと発電には至らない。屋内の蛍光灯程度の光では発電扱いにはならないのだ。ソーラー発電の様子はグラフで表示できる。

思うように充電できなくても、パワーモード設定で節電すれば電池寿命は延ばすことが可能。何の機能を切って、何を使うかという節電のカスタマイズも細かく設定できるので有り難い。パワーモード設定では、仮に設定した節電モードを実行すると最大何日バッテリーが持つのかを表示してくれる。どうやら最大にすると70日に延びるらしい。


優れた耐久性、意匠

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耐久性に関してはアメリカ国防総省の定めるミリタリー規格、いわゆるMILスペックをクリアしているため、文句のつけようが無い。耐熱、耐寒、振動、衝撃、腐食、100m防水などなど。登山で使う分にはまず問題は無い。


僕が秀逸だなと思うのはサイズ感。ミルスペックの割に過剰にゴツくなく、かつてのGショックのようなアウトドアスポーツウォッチらしいデザイン。厚みはあるが、スントやカシオのプロトレックのような、いかにも大きいという盤面ではなく、コンパクトに収まっている印象を受ける。腕の細い僕でも違和感なくつけられるし、女性も装着しやすいだろう。

機能がずっしり詰まっているが、実は重さは53グラムと軽い。変な重さは感じないくらいなので四六時中つけていても違和感が無い。

本体カラーも豊富で、僕は暗くても視認性の良いイエロー(Sun burst)をチョイス。グラファイト(黒系)はカッコいいがボタンの文字が見にくい。

機能面、耐久面、デザイン面から見て、全ておいて妥協の無い、インスティンクト・デュアルパワーは一生モノの相棒になるかもしれない。

ガーミン Instinct Dual Power Graphite 小
ガーミン(GARMIN)
2020-07-16



2021年7月追記

ちなみに…とってもどうでもいいことですが、有名登山YouTuberのかほさんは僕と同じイエローのインスティンクトを使用しているっぽい。富士見平小屋のFacebookで見ましたw



おわり
2020年8月23日

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