登山を始めた究極の要因は僕に登山好きになるポテンシャルがあったからだと思う。非競技が好きだったり、装備を集めるのが好きだったり、自然が好きだったり…。しかし直接の要因は偶然引き起こされたある経済的な状態だった。これは登山初心者あるあるなのではないだろうか?


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僕は大学一年生で登山を始めた。が、それ以前から登山に興味があったわけではなく、むしろ関心は無かった。小学生の頃から昆虫採集や生き物を観察することに興味はあったが、自然の中を歩くこと自体に特別な関心は持っていなかった。高校にワンダーフォーゲル部があったが、当時その活動を垣間見ても、何の関心も湧かず、登山など自分とは無縁なものだと思っていた。


大学では何かのサークルに入ろうという程度だった。下手くそではあったがテニス部だったのでテニスサークルの新歓に行ってみたが、あまりにもノリについていけず、途方に暮れていた。そこで授業で知り合った友人を介して色々なサークルを見に行くことにした。


そのなかでアウトドアサークルに行ったのだが、今までで一番雰囲気が良いというか、ボッチの人間でもちゃんと相手をしてくれるところに好感を抱いた。ゴールデンウィークも過ぎた頃だったので、ここで入会を逃すとサークルに入らない大学生活が続いてしまうと思い、とりあえず入会を決めた。


入ったからには何か活動(企画)に参加せねばと思ったが、今から参加できるのは6月に登山企画が一件のみ。このサークルは他にもカヌーでの川下りや自転車旅もやっているが、これらは主に長期休みで行われており、既にゴールデンウィークで企画されて終了していた。これから開催される企画は土日でもできる登山企画しかなかった。


というわけで登山をやるより他なかった。


登山を始めるにあたって、先輩から装備を借りれるという話だったが、登山靴だけはそうはいかないということで、問答無用で買い出しに連れ出された。あれよあれよと2万5,000円くらいの軽登山靴を購入。登山靴としてはそんなに高いものではないが、当時の僕としてはかなりの高額であった。


そして登山の日を迎えたわけだが、行き先はなんと木曽駒ヶ岳をロープウェイを使わずに登るということだった。当時知識ゼロの僕はついていくだけだったが、今思い返せばアホな学生らしいかなり無謀な企画だ。


結局残雪に負けて日帰り敗退。登山の面白さは何一つわからなかったが、先輩や同期の人柄の良さが、登山という過酷な場所でより際立っていて、それがよかった。


そんな先輩に夏休みにもう一度登山に誘われた。前回クソみたいな登山でもう山は懲り懲りと思っていた僕だが、参加を決めた。なぜかというと、優しい先輩の誘いだし、断るのは申し訳ないという思いと、もう一つの考えがあったからだ。


もう一つの考えとは、「せっかく高価な登山靴を買ったのだから行かねばもったいない」というものだ。


これぞコンコルド効果である。


コンコルド効果とは…
「埋没費用効果 (sunk cost effect)」の別名であり、ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資がやめられない状態を指す。超音速旅客機コンコルドの商業的失敗を由来とする。(Wikipediaより)
登山は性に合わず絶対つらい思いをすることがわかっているにも関わらず、他の自転車やカヌーに参加する機会を失い、登山に金銭や時間の投資を始めてしまったからには、後戻りできない精神状態になっていた。もちろん冷静になれば登山靴を買ったくらいなら後戻りはできるのだが。

後戻りどころか、コンコルドの開発よろしく、夏休み登山の参加を決めたせいで、全て装備(ザックや雨具等)を買い、投資額をさらに増やしてしまった。そのことがさらにコンコルド効果を加速させる。

案の定、夏休みの登山は激しくつらかった。行き先は白馬岳。簡単な山ではないが、周りのメンバーと比べて明らかに僕だけついていけていない。これはいよいよしくじったなと思った。もちろん景色は最高だったが、つらさの方が断然上だった。正直辞めたかったが、そのとき既に投資額は8万円近くになっており、なんとかサンクコスト(埋没費用)を回収しようと躍起にならざるをえない状態になっていた。

それ以降、サンクコスト回収のために剱岳、屋久島、雲取山と登っているうちに、体力が付いてきたのだろう。雲取山あたりから、なんと楽しさがつらさを上回ってしまったのだ。

そこからはコンコルド効果は消失し、楽しくて山に登るようになった。

しかし、これもサンクコストを回収しようというコンコルド効果があってこそのことで、もし仮に自分で装備に投資をせず、全て借り物で済ませていたら、早々に登山を辞めていた可能性が大いにある。

「もったいないからとりあえず続ける」という行為って日常でもよくあるとは思うが、特に登山は他の趣味と比べても初期投資がデカいため、このような効果が生まれやすいと思う。(カメラや自転車にも言えそう)「装備一式揃えちゃったから、本当は辞めたいけど少し続けよう」という状態、登山あるあるなのではないだろうか?



おわり
2021年5月12日

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