最近、欧米のロングトレイルカルチャーの影響で登山道のことを「トレイル」と呼ぶことがあるけど、それについて考えてみた。



登山道もトレイルだけど

登山道を英訳すれば a mountain trail になるのでトレイル=登山道なのは間違いない。しかしトレイルランニング目線になると日本のトレイルにはいわゆる「走れるトレイル」は少ないように思う。



「トレイル」という響きからイメージする道

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トレイルは何も走るためのものではないが、僕はトレイルという響きから、これくらいの歩きやすく整備された登山道をイメージしてしまう。僕は「トレイル」という言葉を「トレイルランニング」や「ロングトレイル」という言葉を通じて認知してきたから、自然とそういう風に考えてしまうんだと思う。

実際、「アメリカ トレイル」で画像検索するといわゆる本場のロングトレイルの写真が出てくるのだが、こういうマウンテンバイクで走れそうな小道の写真がたくさん出てくる。ヨーロッパも同様。




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ちなみにここは北アルプス蝶ヶ岳の稜線。

欧米のトレイルは日本の登山道よりもっと整備されているものが多いイメージがある。蝶ヶ岳登山道も山荘付近は地道に大きな石をどかして整備したのだろう。日本では存在が貴重な道だと思う。



実際の日本の登山道

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実際のthe日本の登山道はこんな風に石と木の根が跋扈している。これもトレイルだろうけど、トレイルランニングのトレイルとしては適していないと個人的には思う。



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森林限界を越えても蝶ヶ岳のようななだらかな場所は稀で、巨石、巨岩の合間をすり抜けるようにルートがある。これもトレイルなんだけど、クライミング要素が多く、いわゆるランニングにはどちらかというと不向き。




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両手を使って岩を乗り越えるような道も日本の登山道には少なくない。日本の登山道=トレイルと言っても急峻でジグザグで凹凸が多い道が多い。



登山道はトレイルランニングコースというよりスカイランニングコース

そう、日本にある登山道の多くはトレイルランニング的に見ると「テクニカル」なトレイルなのだ。もちろん低山里山やレースで使われる道なら普通に走れるところはいっぱいあるのだが。

日本アルプスレベルになると、トレイルランニングをやろうと思っても岩の急登をよじ登ってばかり。トレイルランニングではあるものの、全然「ランニング」できるところが無い。これは厳密に言えばトレイルランというより、スカイランニング※だと思う。日本の登山道はトレイルランニングにはあまり適さないトレイルが多いが、高低差が大きくスカイランニングに向いている。

※高低差のある道で競う競技で、登山の概念に近い。

日本語と英語の曖昧なニュアンスの差や、日本での使われ方のニュアンスについて議論しても正解は出ないだろう。しかし僕なりにこういうことを実際に山を登りながら思った。



追記:欧米のトレイル

この記事では「欧米のトレイル」について僕のイメージだけで整備されていて、歩きやすい、走りやすいイメージで書いてしまったが、これについてTwitterでアメリカ在住のKuni Yamagata さんより、ご意見を頂戴したので引用したい。

未舗装の道ならば歩こうが走ろうが、馬やMBTで走ろうがトレイル。トレイルという言葉は広い意味で使われており、整備の度合いは関係ないとのこと。日本の登山道のような、登山だけで使われる道も含まれるのだろう。

言語、文化が異なるので「トレイル」の完全なる和訳というのはやはり難しいのかもしれないと思った。日本でも登山者や自転車、ランナーなど色々な人が譲り合い活用できる道、すなわち「トレイル」の文化が根付けば素敵だなと思う。

現地の貴重なご意見ありがとうございました。



おわり(公開時から文章の改変を行なっています)
2021年7月25日


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