シングルバーナーのストーブとして極めてバランスの良い性能を持つSOTO(ソト:新富士バーナー)のアミカス。元アウトドア業界人目線でチェックしてみた!



アミカスの凄さを徹底解説したい

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登山用のストーブに必要な性能は何か。答えは色々あるだろうが、一番それらを満たしているのはアミカスだと、僕は思う。

僕は一応前職はアウトドア関係の仕事に就いていたので、ストーブについては多少詳しいつもりだ。色々なストーブに触れてきたなかで、実は一番凄いと思っていたのが、このアミカスなのだ。




登山用ストーブ(シングルバーナー)に必要な性能とは?

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僕は登山で使用されるストーブに必要な性能は大きく三つあると思う。それは、①堅牢性、②コンパクト性、③安全性だ。アミカスはこれらをバランス良く満たしている。

①の堅牢性について。登山においてストーブの故障はあってはならない。堅牢であることはとても重要だ。

②のコンパクト性について。堅牢さがあってもバカデカいと登山においてはパッキングの邪魔となる。コンパクトで軽量なものがいい。

③の安全性について。安全な構造になっているのかどうか。また、信頼できるメーカーなのかというのも重要だ。

【堅牢性】ステルス化された自動点火装置

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ステルスイグナイター(点火装置)はSOTOのお家芸とも言える。従来型のストーブは点火装置のセラミックが外に剥き出しになっていたため、ここが外部衝撃で割れると漏電し、スパークがバーナーヘッドに飛ばなくなり、点火しなくなるという不具合が最も多い不具合だった。

イグナイターの配線を吸気管内部に通して隠す(ステルス化)ことにより、外部衝撃による破損を防ぐことができている。このためにはイグナイターと器具栓の小型化と、内部に配線を通しつつ、正常な燃焼ができるような構造の工夫が必要で、それをうまくクリアしているところが素晴らしい。

【堅牢性、安全性】ゴトクの構造

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アミカスのゴトクは下から持ち上げてフックにかけて立てるという方式だ。この構造はMSRのポケットロケットストーブも採用しているが、ポケットロケットは3本ゴトクなのに対して、アミカスは4本なので、安定性が良い。安全にクッカーを乗せるなら絶対に4本ゴトクがいい。

そしてこのゴトクがとても頑強そうなのが良い。もしこのフックで固定するゴトクが破損するとしたら、フック部分の金属が疲労して折れるか、リベットが取れるか、ゴトクだけもげるかの3択だ。だが、その弱点のどれもが堅牢に作られている。パーツが精緻に組まれており、見た目ではちょっとやそっとでは壊れそうにない。

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さらに可動部分に直接火が当たらないのが良い。上の写真はEPIだが、このように火が当たるとステンレスの皮膜が変性し、サビが発生しやすい。そこが関節部になっていると動きが悪くなることもある。火が直接当たりにくいもいうことは、吹きこぼれがかかりにくい位置でもあるため、それもサビや汚れをつきにくくなる。

イグナイター破損につづいて、ゴトクの破損、ズレという不具合も起こりやすい。一番負荷がかかる部分だけに、安っぽい構造や、汚れやすそうな構造の製品は要注意だ。

【コンパクト性】収納方法

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ゴトクを下に曲げることによりコンパクトに収納できる。吸気管の長さは安全な燃焼のために必要なので、その長さ維持しつつ、効率よくゴトクを収納している。

スノーピークのギガパワー地ストーブがおそらく最初に採用したワイヤー型のツマミを採用し、さらにコンパクト化を図っている。このワイヤー型ツマミももはや一般的になりつつあり、プリムスも新型のエッセンシャルトレイルストーブで採用している。

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他社コンパクトストーブと比べると、器具栓、ツマミ、イグナイターなど、あらゆるパーツが小型化しているのが一目瞭然だ。


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細かいことだが、スタッフサックの形が先細りになっているため、袋に無駄が無く、袋に入れた状態でもなるべくコンパクトに収納できるよう配慮されている。

【安全性】摺鉢ヘッドの安定した燃焼

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摺鉢状のバーナーヘッド構造により風に強いというのがアミカスの宣伝文句である。

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上のような従来型のバーナーヘッドはお椀を伏せたような形状であり、炎穴は外を向いているため、炎は外に拡散するような形になる。すると当然炎穴は横風に対して無防備であるため、その影響を受けやすい。

アミカスをはじめとするSOTOのストーブは炎穴に横風が当たらないように摺鉢の内側に配置していおり、さらにその縁に風防状の立ち上がりを作っている。これが風に強いと謳う所以だ。

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しかし僕がすごいと思うのは、そのアイデアを形にする技術力だ。ストーブのバーナーヘッドの内部では吸気口から取り込んだ一次空気とノズルから出るガスがミキシングされる。ここの形状次第ではうまく気体がミキシングされず、不完全燃焼となってしまう。通常、逆摺鉢状の形のほうがミキシングはしやすい。それを摺鉢状のヘッドでしっかりと気体を混合させ、青い綺麗な炎を均一に出しているところは、賞賛に値する技術だ。

【安全性】コンパクトストーブに火力は必要か?

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僕は火力は高ければ良いというものではないと思う。火力(カロリー)が高いということは、消費ガスの量が多いということだ。自動車で言うと燃費が悪いということ。それよりも低燃費で十分走れる車のほうが無駄が少ない。

ストーブも同じでカロリーが高いことよりも効率よく燃焼させることが大事だ。たとえばクッカーから炎をはみ出させないことや、風から守ってやるなど。

なのでアミカスの出力2,600kcalは他社より見劣りするものの、実際のところそこまで気にすることではない。ガスの噴出量を増やしてリフティング気味で轟音とともに燃焼させるより、安定して燃焼しているほうが安心感がある。

【安全性、堅牢性】器具栓の二重シール

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器具栓接続部にOリングが付いているのは一般的だ。しかしSOTO製品の器具栓には外側にも大きなOリングがあるのが特長。

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カートリッジに接続するとここがカートリッジバルブの縁にあたり、シールされる仕組みになっている。二重シール構造でガス漏れを防ぎ、カートリッジと本体との密着性を上げ、安定感を良くしている。

【安全性】メーカーとしての信頼性

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SOTOブランドを展開している新富士バーナーは、もともと工業用のバーナー、トーチなどを作っている、いわば「炎のプロフェッショナル」だ。近年では東京五輪の聖火トーチの燃焼機構の設計を担当するなど、技術的に非常に信頼がある。バーナー製品は当然日本製である。

イワタニ・プリムスはスウェーデンのプリムス社と日本の岩谷産業との合弁会社であり、純粋な日本製造品ではない。プリムスの世界シェアは高いが、細かい構造を比べるとSOTOのほうがよくできている。EPIも日本製ではあるが、企業規模の差が製品に出てしまっている。

前提として、日本で販売が許可されているストーブは、全て第三者機関で検査を受けてP.S.LPGマークを取得した製品だけである。これだけで安全はある程度担保されているが、僕はさらに企業バックグラウンドも考慮したい。

マイクロレギュレーターは必要か?

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アミカスはマイクロレギュレーターを搭載していない。僕はこれは無くても良いと思っている。

マイクロレギュレーターは器具栓内部のスプリング構造により、外気温が高いとき、つまりガスカートリッジの内圧が高いときは、ガスの噴出を抑え、外気温が低いとき、つまりガスカートリッジの内圧が低いときはガスの噴出量を増やすという構造だ。この構造の欠点はガスの噴出量を増やしても、やがて気化熱を奪われたカートリッジの内圧はさらに低下して結局火力は低下してしまうところだ。ならばこの機構に頼るより、最初から低温に強いガスを使用すればいいだけのこと。

ウィンドマスターと迷っているならこのような理由でアミカスをお勧めしたい。ウィンドマスターのようにゴトクが取り外し可能なのは紛失と破損のリスクがあるし、ここもアミカスのほうを評価したい。

アミカスまとめ

長々と書いたが、まとめると、コンパクトストーブ(シングルバーナー)は点火装置が破損しにくいこと、ゴトクの関節部が堅牢であること、コンパクトに収まること、安定した燃焼であることがあげられる。

そして、アミカスの一番評価したい点は、これらを非常に高い水準で満たしつつ、価格を定価5,000円と低く抑えている点だ。かなりの企業努力を感じる。

さまざまなストーブの不具合を見てきた立場からすると、まさに理想的なバーナーだと思う。




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※諸事情により記事内写真のガスカートリッジがSOTOではありませんが、ご使用の際は必ずストーブとカートリッジは同一メーカーを使用して下さい。他社との接続はメーカーが保証していませんので、絶対にマネしないで下さいw



おわり
2022年9月15日

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