ネットで「マナー違反の登山者」が叩かれて炎上している様子を見ると、登山を始めたくても怖くて嫌になってしまう人もいると思う。そんな人に参考になるかもしれない記事を書きましたが、全て僕個人の感想なので参考にならないかもしれない。



①あいさつの作法

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謎に満ちた登山者同士の「あいさつ」であるが、一番謎なのはあいさつをする場所である。

あいさつをするのに場所が関係しているとはどういうことだろうか。これは、登山者同士は登山道上ではあいさつを交わすが、登山前後の駐車場やバス停などではあいさつはしないケースがあり、場所によって「あいさつ」した方がいい雰囲気の場所とそうでない場所がある。それを嗅ぎ分けないと「なんやコイツ、登山道でもないのにあいさつしてきよったでw」って思われるかもしれない。

しかし、この場所の具体的な線引きについて明確なルールはない。僕の経験で何となく言うと、登山届のポストがある登山口なら、ポストより進んだところが「あいさつゾーン」という感覚がある。


ところが上高地とか立山室堂などは例外だ。たとえば上高地なら河童橋周辺であいさつはほとんどしないと思う。しかし登山届ポストは上高地バスターミナルにある。挨拶をするのは明神館あたりで、2、3時間以上はハイキングするぞという意気込みを感じる人だけになった場所から「あいさつゾーン」になる気がする。

また、道幅も影響しているように思う。人が横三列になれるくらいの幅があるとあいさつする人は少ない印象がある。片側1車線の対面通行くらいになると、あいさつをしたほうがベターな空気感が醸成されてくる。

もう一個謎というか、これはどっちでもいい問題なのだが、「おはようございます」なのか「こんにちは」なのか問題である。もうこれはマジどっちでもいいので、主観で「今は朝だな」と思ったら「おはようございます」でいいと思う。でも降りてくる人は夜明け前の3時から行動していたりするので感覚的に朝9時でも「もう昼だな」と思っているので「こんにちは」と言ってきたりする。

②道譲りの作法

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あいさつの有無は道幅も関係していると言ったが、これには道の譲り合いが関係しているからかもしれない。

登山では道が狭い場合は声を掛け合ったり、どちらかが先に譲ったほうがいいとされている。つまり何らかのコミュニケーションをとったほうが良しとされていて、黙って後ろから追い抜いたり、何も言わずに対向者の間をすり抜けるのは危険だしとてもマナーが悪いのでネットで叩かれること間違いない。

どちらかが道を譲るのはわかるが、道の譲り方に暗黙のルールはあるのか?というところに触れたい。

よく言われるのが「登り優先」である。これは有名なのだが、有名すぎて「登り優先原理主義者」が稀にいる。この「登り優先」の理由は降りの人のほうが上から見下ろしているため視野が広く、対向者に気づきやすかったり、避ける場所を見つけやすかったり、体力的に余裕があったりすることが多いのでそうなっているわけだ。あと避けるときは山側に寄って避けるとかもある。
ただもちろん例外もあって、登りの人のほうが避けやすい地形だったり、下りの人のほうが体力が消耗してそうな場合はこの限りではない。他にもパーティの人数にもよるので、本当にケースバイケースなのだ。でも何がベストな判断かよくわかんないときはとりあえず「登り優先」で行動してみるといい。

どちらにせよ、まずはあいさつで声掛けをして、どっちが譲るのかちゃんとコンタクトをとることが大事だ。

③山でのトイレの作法

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まず山にトイレが少ない。というかトイレが無い山のほうが多い。だからって立ちションや野糞はむやみやたらにするものではないので、できる限り事前に家や駅で済ませておきたい。しかし生理現象なのでどうしてもというときは訪れる。

そのときの手段として教科書通りの答えは「携帯トイレ」を使用することだが、実際日帰り登山程度で携帯トイレを持っている人は稀だろう。(雪のある時期の雷鳥沢キャンプ場などは携帯トイレがマストであるが)ほとんどの人は野山にいたしているのが実態だ。

やむを得ずその辺でする際は、①穴を掘ること②小屋や水場となる沢側ではしないこと③ペーパーは持って帰ること(持ち帰れない場合は最低でも燃やす)などの暗黙の了解がある。もちろん人目につかないところまで道を外れる必要があるが、滑落と道迷いには絶対注意であるし、ペーパーを燃やす場合は山火事にも絶対注意である。

ちなみに営業している山小屋ならだいたいトイレがあり、小屋のホームページにはバイオトイレなどと聞き慣れない言葉で書いてあるが、ようするに仮設トイレ並み、つまりボットン便所みたいなクオリティだと思っておけばいい。

④山小屋やテント場での作法

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何かと謎に包まれた山小屋という存在はただの娯楽施設ではないので、ホテルの客の気分で行くと怒られる場合すらある。

泊まらない場合、山小屋のトイレや休憩所を使うこともあるだろう。そのときの注意点として、トイレは有料(だいたい100円を投入箱に入れるようになっている)ただし小屋によっては休憩所も有料、もしくはその小屋で軽食を買った人のみが休憩所が使えるケースもあるので慎重に利用しないと怒られる

ゴミ箱も設置されているが「ラッキー、持ってきたお菓子の袋捨てよう」なんてことをすると怒られる。あくまでその小屋で買った飲食物のゴミのみしか捨てられないのだ。

泊まる場合、消灯時間や夕食の時間等、利用には厳格なルールがあり、さながら部活の合宿である。きっちり説明を聞いて守らないと怒られる。

山でテントを張る場合は「キャンプ指定地」と呼ばれる山小屋などが管理する場所に、所定のショバ代を払って張ること。勝手にその辺の道の脇の空いてる場所にテントを張ると「闇テント」と呼ばれて袋叩きにされるかもしれないので注意。

またテント泊の人は山小屋泊の人と比べて人権が限られている。小屋泊の人が享受できるサービスはほとんど受けられず、屋内の炊事場や休憩所も原則利用不可。トイレも別棟という場合すらある。

山小屋は消灯時間が20時の場合が多く、下界ではあり得ない時間に皆寝るようになっている。テント泊の人はもっと早くて18時くらいには寝る人も少なくないため、19時くらいに普通にテントで話していると隣の人に怒られることもある。朝は4時とか5時とかに早く出発するが、まちまちなので朝食より早く出発する人は夜逃げのごとく静かに寝床から這い出る必要がある。

よくいるのが、洗面台があるからといって歯磨き粉や石鹸を使ったり、食べ残した汁を流したり、食器を洗ったりする登山者である。これは最もネットで叩かれやすい行為なので気をつけたい。洗面台は水のみの手洗い洗顔と最低限の水汲みのみ。洗剤の類や食べ残しは流してはいけない。なぜかって?環境に悪いからだよ。じゃあ小屋の従業員はどうしてるのかって?それはアレだよ…おっと誰か来たようだ…。

いかがでしたか?

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ここではごく一部の登山の暗黙のルールだけを紹介したが、他にも死ぬほどある。こういう暗黙の了解は登山のみならず色々なジャンルであるんだろうなとも思う。

また、ここでいう「登山」とはあくまで無雪期一般登山道(登山地図にコースタイム付きで載っているコース)を歩くだけの登山に限ったことであり、岩を登るクライミングや雪山登山、沢登りなど色々よくわからないジャンルの登山にはまた独自ルール(のようなもの)が存在すると思うのでそれはあえて言及しない。

どうですか、登山を始めるハードルが下がりましたか?え?余計ややこしくなった?




おわり
2023年4月7日

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