レースを実際に観戦して、スカイランニングをどうやって地域振興に繋げられるのかについて考えたので、書き散らします。
長野県上田市では毎年5月の初旬に「太郎山登山競走(上田バーティカルレース、スカイレース)」が行われている。これは日本スカイランニング協会(JSA)が主催のスカイランニングジャパンシリーズの初戦であり、これらで優秀な成績を残せば世界ランキングにも反映されるという、日本のスカイランニングを代表するレースである。
しかし、スカイランニングって何?という人が世の中のほとんどだろう。僕も正直知ったのはここ数年だ。知っていると言っても詳しくはよくわからない。というのもこのスポーツ自体がかなり発展途上であり、毎年開催形式を微妙に変えているからである。
しかし、一言で言うならば、「垂直方向への駆け上り、駆け降りのレース」であり、とにかくどれくらい速くどれくらいを登ったかを重視するスポーツである。トレイルランニングと混同されがちだが、トレイルランニングが水平距離に走ることを重視している一方(たとえば100マイルなど)、スカイランニングは水平距離は拘らない。
(photo© Skyrunner World Series / Guillem Casanova)
ただ、日本でトレイルランニングをやると山がちな地形を走るので必然的にスカイランニング並みの獲得標高を得てしまうことが少なくなく、見た目では違いはよくわからないと思う。
トレイルランニングもレースではあるが、トレイルランニングは文字通りトレイル(未舗装路)を走る競技なので必ずしも登り坂をコースに取り入れる必要は無い。トレイルランニング大国アメリカのレースでは距離の割に標高差が少ないレースも多い。トレイルランニングレースはいい意味でアットホームな草レース的なものが多い。
だがスカイランニングはヨーロッパで山岳競技として世界的に山岳スキー、クライミングとして市民権を得ている。競技基準、ルールがかなり厳密に世界協会で定め、世界ランキングを作り、厳密に優劣を競っている。
という理解でいたら、どうやらトレイルランニングにも世界選手権があり、日本トレイルランニング協会なるものもある。しかもその日本代表のほとんどはスカイランニング協会の日本代表選手と被ってるので、ますます違いがわかりにくい。国際的にはトレイルランニングよりスカイランニングの方が競技としての地位は高そうであるが…。
盛り上がらないもう一つの理由として、市民に認知してもらえるきっかけが無いことが考えられる。市としてスカイランニングを観光資源やPRに充てるつもりがあるのなら、まずは内側を巻き込む必要があると感じる。対外的なPRの前にまずは身内に知ってもらわなくては話にならないと思うのだ。
わかりにくいけど、それなりに噛み砕いて市民に伝えることはできるし、その伝える努力を運営や市はもっとやってほしい。おそらく上田市民の間ではこのレースはあくまでもの好きな市民や子供が太郎山を頑張って競争して登る大会程度にしか認知されていないのではもったいない。せっかく日本トップレベルの選手が来ているのに…。
いくら対外的に普及を頑張っていても、地元民が盛り上がらないといつまでもひっそりと「内輪で盛り上がる大会」のままだ。競技人口の輪を広げ、多くのスポンサーを得て競技レベルを上げるには一般人、特に地元民に認知させて評価されることは重要だと思う。そうすることで初めて上田市PR動画の「旅RUN」が実際のものとなり、街が活性化する良いスパイラルが生まれると思う。と、レースを観戦していて思った。
日本を代表するスカイランニングレース「太郎山登山競走」
長野県上田市では毎年5月の初旬に「太郎山登山競走(上田バーティカルレース、スカイレース)」が行われている。これは日本スカイランニング協会(JSA)が主催のスカイランニングジャパンシリーズの初戦であり、これらで優秀な成績を残せば世界ランキングにも反映されるという、日本のスカイランニングを代表するレースである。
スカイランニングとは?
しかし、一言で言うならば、「垂直方向への駆け上り、駆け降りのレース」であり、とにかくどれくらい速くどれくらいを登ったかを重視するスポーツである。トレイルランニングと混同されがちだが、トレイルランニングが水平距離に走ることを重視している一方(たとえば100マイルなど)、スカイランニングは水平距離は拘らない。
スカイランニングのわかりにくさ
(photo© Skyrunner World Series / Guillem Casanova)
ただ、日本でトレイルランニングをやると山がちな地形を走るので必然的にスカイランニング並みの獲得標高を得てしまうことが少なくなく、見た目では違いはよくわからないと思う。
トレイルランニングもレースではあるが、トレイルランニングは文字通りトレイル(未舗装路)を走る競技なので必ずしも登り坂をコースに取り入れる必要は無い。トレイルランニング大国アメリカのレースでは距離の割に標高差が少ないレースも多い。トレイルランニングレースはいい意味でアットホームな草レース的なものが多い。
だがスカイランニングはヨーロッパで山岳競技として世界的に山岳スキー、クライミングとして市民権を得ている。競技基準、ルールがかなり厳密に世界協会で定め、世界ランキングを作り、厳密に優劣を競っている。
という理解でいたら、どうやらトレイルランニングにも世界選手権があり、日本トレイルランニング協会なるものもある。しかもその日本代表のほとんどはスカイランニング協会の日本代表選手と被ってるので、ますます違いがわかりにくい。国際的にはトレイルランニングよりスカイランニングの方が競技としての地位は高そうであるが…。
上田市民にスカイランニングをもっと知ってもらうべき
上田市民の愛するじまんやきコスプレの人も…。写真(日本スカイランニング協会公式インスタグラムより)
そんなわかりにくいスカイランニングの大会ではあるが、この「太郎山登山競走(上田バーティカルレース)」では上田市長も挨拶に来るし、上田市のPR動画には「旅RUN」と称してスカイランニングを楽しむ動画も公開されている。市としても地域振興として力を入れている大会、スポーツなのだ。
こんなスゴい大会が行われるのだからさぞ上田市は盛り上がると思いきや、全くそうでもない。駅前には「スカイランニングの街、上田へようこそ」なんて書いた懸垂幕が垂れているが、ほとんどの市民は「なんかやってんな」くらいの反応だ。
盛り上がりの程度は長野マラソンと比較すれば一目瞭然である。長野マラソンはとにかく応援がすごい。コースの近くの住民はあたかも応援が義務付けられているのかと思うくらい、皆外に出て見知らぬランナーに声援を送る。ところが太郎山登山競走ではスタートもゴールも明らかに関係者しかいない。近所の人らしき人はほとんどいない。
なぜマラソンとここまで差があるかというと、単純にスポーツとして正直わかりにくいからだと思う。わかりにくいので市民にもまったく浸透していない。これでは盛り上がりにかけるのも仕方ない。そんなわかりにくいスカイランニングの大会ではあるが、この「太郎山登山競走(上田バーティカルレース)」では上田市長も挨拶に来るし、上田市のPR動画には「旅RUN」と称してスカイランニングを楽しむ動画も公開されている。市としても地域振興として力を入れている大会、スポーツなのだ。
こんなスゴい大会が行われるのだからさぞ上田市は盛り上がると思いきや、全くそうでもない。駅前には「スカイランニングの街、上田へようこそ」なんて書いた懸垂幕が垂れているが、ほとんどの市民は「なんかやってんな」くらいの反応だ。
盛り上がりの程度は長野マラソンと比較すれば一目瞭然である。長野マラソンはとにかく応援がすごい。コースの近くの住民はあたかも応援が義務付けられているのかと思うくらい、皆外に出て見知らぬランナーに声援を送る。ところが太郎山登山競走ではスタートもゴールも明らかに関係者しかいない。近所の人らしき人はほとんどいない。
なぜ盛り上がりに欠けるのか
盛り上がらないもう一つの理由として、市民に認知してもらえるきっかけが無いことが考えられる。市としてスカイランニングを観光資源やPRに充てるつもりがあるのなら、まずは内側を巻き込む必要があると感じる。対外的なPRの前にまずは身内に知ってもらわなくては話にならないと思うのだ。
わかりにくいけど、それなりに噛み砕いて市民に伝えることはできるし、その伝える努力を運営や市はもっとやってほしい。おそらく上田市民の間ではこのレースはあくまでもの好きな市民や子供が太郎山を頑張って競争して登る大会程度にしか認知されていないのではもったいない。せっかく日本トップレベルの選手が来ているのに…。
地元でレースの知名度を上げるには
こんな特別なお守りも販売されている
どうしたら上田市民にスカイランニングの大会をもっと特別視してもらえるのか?
そのためには、もっと単純な理解で認知してもらうところから始めればいい。この山頂駆け上り大会はスカイランニングという大会の一部であって、実はカテゴリーがあって、その中には世界レベルのコースがあるということ。日本でトップクラス、世界大会で善戦している日本代表が来る大会だということ。ヨーロッパではスカイランニングはもっと盛り上がるということを市民に伝えればいい。トレランとの違いとか、垂直距離がどうとかはとりあえず置いておけばいい。
あとは会場に足を運びやすい工夫である。スタート&ゴール会場の大星神社内にクラフトビールや美味だれ焼き鳥の屋台なんかを出してフェスっぽさを出せば楽しくなるのに…とは思うが、関係各所への調整は難しいのかもしれない。でもやってほしい。
ではそれらをどう伝えるかというと、それはもう市の広報と自治会の回覧板であろう。田舎での情報伝達での回覧板はマジでバカにできない。あとは学校で子供に教えること。社会科の授業や地域の特色を学ぶ授業で子供に教えればいい。そうすれば情報を子供が家に持ち帰る。そのレベルでいいからやってほしいと切に願う。どうしたら上田市民にスカイランニングの大会をもっと特別視してもらえるのか?
そのためには、もっと単純な理解で認知してもらうところから始めればいい。この山頂駆け上り大会はスカイランニングという大会の一部であって、実はカテゴリーがあって、その中には世界レベルのコースがあるということ。日本でトップクラス、世界大会で善戦している日本代表が来る大会だということ。ヨーロッパではスカイランニングはもっと盛り上がるということを市民に伝えればいい。トレランとの違いとか、垂直距離がどうとかはとりあえず置いておけばいい。
あとは会場に足を運びやすい工夫である。スタート&ゴール会場の大星神社内にクラフトビールや美味だれ焼き鳥の屋台なんかを出してフェスっぽさを出せば楽しくなるのに…とは思うが、関係各所への調整は難しいのかもしれない。でもやってほしい。
地元市民へいかに情報共有するか
いくら対外的に普及を頑張っていても、地元民が盛り上がらないといつまでもひっそりと「内輪で盛り上がる大会」のままだ。競技人口の輪を広げ、多くのスポンサーを得て競技レベルを上げるには一般人、特に地元民に認知させて評価されることは重要だと思う。そうすることで初めて上田市PR動画の「旅RUN」が実際のものとなり、街が活性化する良いスパイラルが生まれると思う。と、レースを観戦していて思った。
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