防寒システムのひとつ、VBLシステム

皆さんはVBLという言葉をご存知だろうか。VBLとは極寒地における防寒システムのひとつである。当ブログでもかつて京大サイクリング部の冬季シベリアツーリングの記事を書いた際に触れている。

私自身も2013年くらいに当時のTwitterなどで情報を得てその後冬山で試したりもしていたが、厳しい冬山に行くことも少なくなりその効果を試す機会もなくなってしまっていた。


VBLシステムに関する記述

VBLとはVapor Barrier Liner の略で、Vapor(蒸気)をBarrier(バリア)するLiner(裏張り)である。簡単に言うとニトリルゴムなどの非透湿、疎水性の膜で皮膚を覆うことで身体から蒸散される汗や水蒸気でウェア類が濡れるのを防ぐというものだ。テムレスだの、ゴアテックスだの、透湿が良いことだ!などよく言われているアウトドア界隈において、この考え方は一見すると「?」である。

なので、詳しくはジオグラフィカの松本圭司さんがその歴史も含めてわかりやすくまとめていらっしゃるのでご一読願いたい。


VBLシステムとは

FullSizeRender
松本さんの記事を読んでない方もいると思うので、もう少し説明すると、厳寒地(冬のシベリアとか)では人間から蒸発する汗や水分がウェアを濡らしてそれが凍って命取りになる。冬山でバラクラバの口の周りが凍ったり、テントの結露が凍ったりした経験がある人も多いだろう。それが困るというのだ。

それなら蒸発してもそれをウェアに触れさせなければいいじゃない!ということで生まれたのがVBL。

理論的には人の皮膚は周りが湿度100%になるとそれ以上汗をかかないらしく、仮にゴム手袋のような物で手を密閉したとしてどんなに手汗がすごい人でもゴム手袋内部にジャバジャバと何リットルも汗をかけるわけではない。もちろんベッチョベチョくらいにはなる。そのベチョベチョの不快感よりもウェアをドライに保つほうがよっぽどいいというときにVBLは真価を発揮する。

同時に汗冷えを防ぐという効果もある。汗など体表から蒸気が出る際に皮膚から気化熱が奪われ、皮膚は冷える。湯船から上がって風呂場の中にいる分にはあったかいが、風呂場から出た途端に寒くなるのと同じだ。とにかく「蒸れ」はあったかいのだ。

蒸らせば乾燥対策に

IMG_1373
さらにここから言えるのは皮膚が乾燥している状態は冷えている状態とも言える。私が注目したいのはこの部分だ。なぜなら私は極度の乾燥肌だから。冬場は特に手指が乾燥する。乾燥するということは皮膚から水分が蒸散し気過熱を奪われているし、外部から冷気を遮るバリア機能も弱まる。血流も悪くなるので冷えやすくなる。VBLはそこを改善し乾燥から皮膚をバリアする。

VBLを実践する上で一番手っ取り早いアイテムがニトリルゴム手袋だ。選ぶ上ではパウダーの無いタイプにしたい。内側にパウダーがあると汗で混ざってえらいことになる(昔やってしまった)。パウダー無しのニトリルゴム手袋をインナーグローブとして使用すると手のVBLの完成だ。

ニトリルゴム手袋を冬の軽登山やランニングで使いたい理由

IMG_1504
日本の冬山は寒い上にとにかく空気が乾燥している。私はとにかく冬はハンドクリームを塗らないと手が乾燥して固くひび割れるくらい。蒸気を閉じ込めて手が濡れる不快感よりも乾燥の不快感が上回るのでニトリルゴム手袋は体質に合っている。

IMG_1588
氷点下の気温ではニトリルゴム手袋だけではもちろん寒すぎて手汗が出ずに蒸れ状態ができないので、防水透湿のオーバーグローブなどを併用すると割とすぐに温まってくる。一度温まったらオーバーグローブを取っても気化熱が奪われないので容易には冷えないのが特長。気温一桁台ならニトリルゴム手袋だけでもいいくらい。ちなみにサイズが小さすぎると締め付けで血行が悪くなり寒さを感じやすくなるかもしれないので注意。

そして何よりニトリルゴム手袋はスマホのタッチが使えるのである。グローブのどの面でもタッチが反応するので他のスマホが使えるグローブよりも圧倒的に使いやすい。

なので私は最近山はもちろん日常でもニトリルゴム手袋。使いやすいのは黒色。白だといかにもっていう感じだけど黒はシックでアーバンライフにも馴染む(笑)家庭で必要なシーンもあるので多少ストックしていても問題ない。使い捨て製品だがかなり丈夫なので衛生的に気にならなければ何度も使える耐久性があり、コスパはかなり良い。おすすめです。




おわり
2025年3月4日

いつもご愛読ありがとうございます!このブログを応援して下さる方は↓クリックお願いします!
にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ
にほんブログ村

登山・キャンプランキング