3月28日より発売のパーゴワークス新作ザック「ZENN」シリーズ。実物はまだ見ていないがネットから見れる公式情報からいろいろと得た印象を書いてみる。
開発コンセプト、テーマとして謳っているのが「無駄なものは削ぎ落し、本当に必要な機能だけを磨きぬく」とある。どのあたりでそれを実現しているのか探ってみよう。

写真:パーゴワークス公式サイト
まず目につくのが、まるで親子亀のように大きなザックに小さなザックがついているような外見。一目でこれは外付けの拡張用だとわかる。しかしデザインに一体感があるので単なる外付けのような違和感がなく、二つが一つに仕上がっている印象を受けた。どれくらいの密着度なのかが気になるところ。
こういうモジュール的な発想はハイキングモデルザックのバディシリーズと共通するところがある。バディはサコッシュのスイッチ、ショルダーポーチのスナップとデザインを統一していてそれぞれをザックと合体させることができるのだ。しかしバディの場合はスイッチ、スナップは個々で独立した製品であり、オプションでパーツ的に組み合わせられますというコンセプトだったが今回はそれとは少し違うようだ。
アックスホルダーのスリーブらしき構造も見えるので冬季にも対応している。

写真:パーゴワークス公式サイト
まず見た目を見ていこう。容量は25、35、45リットルの3カテゴリ。全体のシルエットとしてはオーソドックスなザックで、むしろ古典的とも言える。無駄なものはまさに削ぎ落とされた結果とも見える。ただショルダーハーネスは最近の流行りで幅広収納付きだが、これはラッシュ譲りの性能。形状的にはスナップの形も踏襲してるように見えるので利便性が高そうだ。幅広にすることで荷重を肋骨で支えるという機能もある。
太めのヒップ(ウエスト)ハーネスも無難な形状だがよく見るとギアループのようなものが見えるのでクライミング対応も視野に入れているように見える。ロールトップ式もロープを固定できそうなのでこれもクライミング向き。
ショルダーハーネスの起点が通常のザックよりも下にあるというが、一昔前の大型ザックと比較するとそこまで大差ないように見えるが背負ってみないとそれはわからないし、だいぶこだわって作っているようだ。サイズ調整機能もカリマーやロウアルパインなどは昔から採用しているシステムでもあるので真新しくないように思うが、最近のザックの中では珍しい。

写真:パーゴワークス公式サイト
個人的に斬新だと思ったのはこのロールトップ式でありながらサイドアクセスジッパーが付いているところ。かつてカリマーのアルピニステというザックはトップリッド式だがこのような形で開口する構造になっていた。アルピニステは素早くスノーギアやアバランチギアにアクセスすることを目的にしていたが、このZENNにもこのような用途を視野に入れている可能性が高い。

写真:パーゴワークス公式サイト
一番の特徴はモジュール設計だろう。このシステムで「本当に必要な機能を磨きぬく」を体現している。この大きなザックにサブザックが付いているという仕組み自体は新しいものではない。たとえばトラベル用のキャリーバッグに散策用のバッグを外付けできる製品などはある。しかし本格的な登山のザックとなると珍しく、少なくとも私は知らない。
このサブザック(フロントポケット)を脱着できるという機能、私は何度かあればいいなと思ったことがある。サコッシュと同じで散策用やアタック用の「子機」のような存在が欲しいのだ。そこで一度試したのが同じくパーゴワークスの「カーゴ」を利用した方法だ。カーゴは背負子式のザックでフーレムとハーネスを中心にして形成された本体のなかにスタッフサックを入れてザックの形にするという、まさにパーゴワークスのモジュールシステムの元祖とも言える。私はそのスタッフサックの代わりにサブザックをいれたりしていたことがある。しかし取り回しでなかなかうまく行かないことがあったので今は使っていないが、今回のZENNだと取り回しもよさそうだ。それにしてもこのモジュールという考え方はまさに「カーゴ」の遺伝子なのだろう。
全体のモジュールとしてはショルダーハーネス、ヒップハーネス、外付けモジュール、本体の4つに別れるようだ。合体ロボみたいで実に少年心をくすぐられる。ガンダムのコアブロックシテスムのようでもある。
ヒップが外れるのはよくある形式。ショルダーが外れるのもサイズアジャストシステムのカリマーなら外そうと思えば外せる。しかしこのZENNは外付けザックと合体してそこでショルダーハーネスとして使えるところが大きな違いだ。メンテナンス性についてもラッシュは背面メッシュだけ取り外せて洗えたがハーネスまで一緒に洗えないというデメリットがあり、ZENNはそれを見事に克服している。
外付けモジュールを外した本体はシンプルでブラックダイヤモンドなどのクライミングザックのような印象がある。
そしてやはり期待が高まるのは外付けザックの拡張性だ。アイゼンやスノーシュー、その他スノーギア類が付けられるようになるのは間違いない。メッシュなどを付けてULザック風にもなるだろう。
構造やアイデアはラッシュシリーズやバディシリーズ、スナップ、カーゴなどの歴代パーゴワークス製品の要素が組み合わさっており集大成のような印象がある。
これひとつあれば色々な山遊びができる。今までOMMはラッシュ、ハイキングはバディ、クライミングは他のクライミング系のザックなどというように、アクティビティごとにザックを変えてその都度パッキング方法を変えていた人は多いと思う。しかしこのZENNがひとつあれば問題ない。ひとつのザックでなんでもできるとあればパッキングが楽になってくるし、山でのパッキング起因のトラブルも減りそうである。そういう意味で今までのザックの概念が覆るザックなのかもしれない。
おわり
2025年3月22日おわり
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開発コンセプト、テーマとして謳っているのが「無駄なものは削ぎ落し、本当に必要な機能だけを磨きぬく」とある。どのあたりでそれを実現しているのか探ってみよう。
大小のザックが一体化したような形状

写真:パーゴワークス公式サイト
まず目につくのが、まるで親子亀のように大きなザックに小さなザックがついているような外見。一目でこれは外付けの拡張用だとわかる。しかしデザインに一体感があるので単なる外付けのような違和感がなく、二つが一つに仕上がっている印象を受けた。どれくらいの密着度なのかが気になるところ。
こういうモジュール的な発想はハイキングモデルザックのバディシリーズと共通するところがある。バディはサコッシュのスイッチ、ショルダーポーチのスナップとデザインを統一していてそれぞれをザックと合体させることができるのだ。しかしバディの場合はスイッチ、スナップは個々で独立した製品であり、オプションでパーツ的に組み合わせられますというコンセプトだったが今回はそれとは少し違うようだ。
アックスホルダーのスリーブらしき構造も見えるので冬季にも対応している。
全体的には古典的なシルエット

写真:パーゴワークス公式サイト
まず見た目を見ていこう。容量は25、35、45リットルの3カテゴリ。全体のシルエットとしてはオーソドックスなザックで、むしろ古典的とも言える。無駄なものはまさに削ぎ落とされた結果とも見える。ただショルダーハーネスは最近の流行りで幅広収納付きだが、これはラッシュ譲りの性能。形状的にはスナップの形も踏襲してるように見えるので利便性が高そうだ。幅広にすることで荷重を肋骨で支えるという機能もある。
太めのヒップ(ウエスト)ハーネスも無難な形状だがよく見るとギアループのようなものが見えるのでクライミング対応も視野に入れているように見える。ロールトップ式もロープを固定できそうなのでこれもクライミング向き。
ショルダーハーネスの起点が通常のザックよりも下にあるというが、一昔前の大型ザックと比較するとそこまで大差ないように見えるが背負ってみないとそれはわからないし、だいぶこだわって作っているようだ。サイズ調整機能もカリマーやロウアルパインなどは昔から採用しているシステムでもあるので真新しくないように思うが、最近のザックの中では珍しい。

写真:パーゴワークス公式サイト
個人的に斬新だと思ったのはこのロールトップ式でありながらサイドアクセスジッパーが付いているところ。かつてカリマーのアルピニステというザックはトップリッド式だがこのような形で開口する構造になっていた。アルピニステは素早くスノーギアやアバランチギアにアクセスすることを目的にしていたが、このZENNにもこのような用途を視野に入れている可能性が高い。
合体ロボのような独自のモジュールシステム

写真:パーゴワークス公式サイト
一番の特徴はモジュール設計だろう。このシステムで「本当に必要な機能を磨きぬく」を体現している。この大きなザックにサブザックが付いているという仕組み自体は新しいものではない。たとえばトラベル用のキャリーバッグに散策用のバッグを外付けできる製品などはある。しかし本格的な登山のザックとなると珍しく、少なくとも私は知らない。
このサブザック(フロントポケット)を脱着できるという機能、私は何度かあればいいなと思ったことがある。サコッシュと同じで散策用やアタック用の「子機」のような存在が欲しいのだ。そこで一度試したのが同じくパーゴワークスの「カーゴ」を利用した方法だ。カーゴは背負子式のザックでフーレムとハーネスを中心にして形成された本体のなかにスタッフサックを入れてザックの形にするという、まさにパーゴワークスのモジュールシステムの元祖とも言える。私はそのスタッフサックの代わりにサブザックをいれたりしていたことがある。しかし取り回しでなかなかうまく行かないことがあったので今は使っていないが、今回のZENNだと取り回しもよさそうだ。それにしてもこのモジュールという考え方はまさに「カーゴ」の遺伝子なのだろう。
全体のモジュールとしてはショルダーハーネス、ヒップハーネス、外付けモジュール、本体の4つに別れるようだ。合体ロボみたいで実に少年心をくすぐられる。ガンダムのコアブロックシテスムのようでもある。
ヒップが外れるのはよくある形式。ショルダーが外れるのもサイズアジャストシステムのカリマーなら外そうと思えば外せる。しかしこのZENNは外付けザックと合体してそこでショルダーハーネスとして使えるところが大きな違いだ。メンテナンス性についてもラッシュは背面メッシュだけ取り外せて洗えたがハーネスまで一緒に洗えないというデメリットがあり、ZENNはそれを見事に克服している。
外付けモジュールを外した本体はシンプルでブラックダイヤモンドなどのクライミングザックのような印象がある。
そしてやはり期待が高まるのは外付けザックの拡張性だ。アイゼンやスノーシュー、その他スノーギア類が付けられるようになるのは間違いない。メッシュなどを付けてULザック風にもなるだろう。
クライミングを含む山岳アクティビティに対応するザック
ここまでチェックしてみて、度々言及したがZENNはアルパインクライミングにも対応するザックだ。かと言って縦走やロングトレイルに向いてないかというとそうではない。容量次第だが、ラッシュ譲りの高重心、幅広ハーネスなのでヒップハーネスを外せばOMMなどのアドベンチャーレース系にも対応できるだろう。つまるところモジュールパーツを交換すれば自分の用途に合わせてザックを変形させることができる。トレイルランニングを除く多くの山岳アクティビティに対応できると予想する。構造やアイデアはラッシュシリーズやバディシリーズ、スナップ、カーゴなどの歴代パーゴワークス製品の要素が組み合わさっており集大成のような印象がある。
これひとつあれば色々な山遊びができる。今までOMMはラッシュ、ハイキングはバディ、クライミングは他のクライミング系のザックなどというように、アクティビティごとにザックを変えてその都度パッキング方法を変えていた人は多いと思う。しかしこのZENNがひとつあれば問題ない。ひとつのザックでなんでもできるとあればパッキングが楽になってくるし、山でのパッキング起因のトラブルも減りそうである。そういう意味で今までのザックの概念が覆るザックなのかもしれない。
おわり
2025年3月22日おわり
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