冬山をやってみたいけど、どうすれば…という人へ。冬山は想像力、如何に危険をリアルに想像できるか、自分の「死体」を想像できるか…という思考が大切だと思う。



冬山登山ってなんだ?

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冬山とは…冬の山に登ること。

…えっ?答えになってない?そんなことはない。冬山は冬の山の登山だ。12月~2月くらいの山に登ること。山によっては10月から6月くらい。

だから東京の山手線内でもっとも標高の低い「箱根山」(標高44.6m)を1月に登っても冬山登山なのだ。

…えっ?そういう山ではない?そうだ。では1月に標高3,776mの富士山を登っても冬山登山だ。

冬富士は風が凄まじく、アイゼン(登山靴に付ける爪)が刺さらないくらいのアイスバーンになる。まあ危険きわまりない。行ったことないけど。

先に挙げた箱根山は1月になっても通常はアイスバーンにならないし、風速40mの風も吹かない。なぜでか。そこには決定的な違いがあるからだ。それは天候である。

冬山登山をするために必要なのは、その山が夏と比べて天候がどのように変化するのかを知るということだ。



冬山=雪山ではない

よく冬の時期に山に行こうとすると周りの人から「雪山でしょ?危ないんじゃない?」と言われたりする。逆に、山を登らない人で5月の山に雪がたくさんあると思っている人は少ないはず。

そう、冬山=雪山ではない。

冬山に登るなら、標高の違いや、気圧配置によって、それぞれの地域の山がどういった積雪をするかということは大体知っておくべきだ。

すっごく簡単に言えば冬型の気圧配置のときは北アルプスや日本海側の山は大荒れ大雪で、南アルプス、奥秩父など、太平洋側の山は比較的晴れる(風は強いが)

たとえば平年の12月の奥多摩・雲取山ならば、南側の鴨沢登山口から登ればほとんど雪はない。山頂から先の北側斜面が凍結している程度。もちろん年によって多少異なるが。

雲取山だって2,000mを超す山なので冬は雪がもっとあるのではと思っている人もいるかと思う。もちろん、1月~3月につれて雪は増えるが…。



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これは12月下旬の雲取山。朝霧で霧氷ができて、地面に霜も降りているが、積雪はない。

冬山でなくても3~5月の残雪期にあたる山も雪山扱いになる。5月の白馬岳で吹雪いて大量遭難ということも実際あった。



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これはゴールデンウィークの北アルプス白馬大池。8月ごろは美しい水を湛えてるが、5月の上旬はまだ湖全面が雪に覆われた別世界。

冬山登山にこう言った天気(雪)の知識が必要になってくる理由は、冬山登山の難易度は積雪や天候によって大きく変わるからです。




冬山登山の始め方とは

冬山を始めるのに道具とかそんなんはどうでもいい。いや、どうでもよくはない。言い過ぎたw

しかし、冬山で貴方の命を奪うのは大抵天候だ(雪崩・積雪も広義で気象現象とする)。まずは冬山の攻撃力を把握してこそ、防御(装備・道具)をどうするか考えるべき。

今の自分の体力+装備-天候の悪さ=マイナスの値

だったら冬山は止めたほうがいい。勝てない。これは夏山も同じだが。

でも夏山のほうがこの計算はどんぶり勘定でも大丈夫な場合が多い。夏山は天気ではそう簡単には死なない。まあ死ぬときはあっけなく死ぬが…。

ところが冬山はすぐに死ぬ。風雪に遭ったらひとたまりもない。娘さんよ、山男に惚れるなよ。山男が風に風に吹かれれば若後家さん…という歌もあるくらい。

だから冬山を始めるには、まず冬の天気、すなわち敵の攻撃力を理解するところから始めたい。

そしてレベルの低い山から順番に登ろう。ガイドブックが詳しいが、下の本は「冬山登山」ではなく「雪山登山」であり、雪がある山を前提に書いてあるのでご注意。

まずは冬の天気(春の天気も)を理解して、雪がある冬山・春山、雪の無い冬山の違いを知ろう。そして雪が無いと言われる冬山から登るのがおすすめ。雪がなくても山は寒いから
その寒さから体験していこう。



こういうハウツー本を読んで、山の状態の想像が出来るようであれば良いが、雪山のなかにいる自分が想像出来ないのなら止めたほうがいい。まだ夏山の経験が足りないかもしれない。



自分が死ぬシチュエーションをいくつ想像できるか

前回「登山は人生で役に立つのかという問題。」でも書きましたが、登山ではリスクを回避するために想像力を働かせる。そしてその力が身に付つくと思う。

冬山は単純にリスクが増えるので、その山が冬になったらどれくらいの風が吹いて、どれくらいの雪があって、どれくらい雪崩の危険性があるのか想像ができる範囲の山にとどめておくのがよい。

その上で、そういう環境なら、どんな装備を選べばいいだろうか…という段階に進むべきだと思う。

もちろん、想像しても的はずれだったり、想像力が足りなかったらダメ。少年チャンピオン連載の人気格闘漫画「範馬刃牙」の主人公刃牙並みに「イメージトレーニング」をしたほうがいい。





自分が冬山のなかで死ぬシチュエーションをいくつも想像し、そのシチュエーションの以外のシチュエーションになるような行動を取れば、死を回避することに繋がる。

ちなみに、僕は自分の体力と技術を考慮して、冬は一般ルートしか登りませんし、冬でも山小屋が空いていて晴天率の高い八ヶ岳くらいしか登りませんので悪しからず…。
無茶をしないことこそ
“護身開眼”なのだ(渋川剛気)

ここでは天気のことばかり書いたが、もちろんそれだけがリスクではない。でも今回はこの辺で。



おわり
2018年2月8日
2019年11月20日加筆修正

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