ここ最近、サコッシュと共にブームを見せて知るチェストバック、カリマー、ノースフェイス、バーグハウスなどもメーカー(ブランド)からも発売されていますが、日本でチェストバッグブームの火付け役となったのはPaaGo Warks(パーゴワークス)の“PATHFINDER(パスファインダー)”です。やはり元祖が一番(?)ということで実用性について徹底レビューします。
なぜウエストバッグやサコッシュではなくチェストバッグなのか
僕は学生の頃、5リットルくらいの大きめのウエストバッグを使用していました。ボトルホルダーも付いてましたので、歩きながらザックを下さずして水分補給や、行動食を食べられるのはとても便利でした。
ただ、難点として、どうしても腰周りに荷物があるので、足あげの動きを少し妨げてしまうのです。また、腰のみで支えているのでザックのウエストベルトとの干渉も気になりました。そのうち、シンプルなパッキングを目指すようになり、特に岩場の多い縦走では足元の視界を妨げますのでウエストバッグの出番は無くなって行きました。
それでも岩稜の少ない山歩きでは小さいウエストバッグやショルダーポーチ(サコッシュ)をカメラを収納するためにいくつか使っていましたが、容量や使い勝手に不満があったのです。カメラだけではなく、もっと色々な「すぐに取り出したいもの」を入れることができれば…と感じていました。
チェストバッグはそんな不満をいくつか解消してくれました。まさにウエストポーチのような収納性、サコッシュのような手軽さに加えて、歩く動きを妨げにくいという特徴を持っているのがチェストバッグなのです。僕はPaaGo Warksの“パスファインダー”Lサイズを選びました。
“パスファインダーL”の便利なところ(パッキング編)
実際に使ってみたところ、思った通りの利便性が得られました。同時に「パッキングをうまく考えなければ」という点もありました。
まず、便利な点はいわずもがな、収納性です。登山中にザックを下さずに色々なものを出せるのはとても便利です。パスファインダーLはボトルホルダーが内部に付いています。ボトルを入れられるというのが僕のチェストバッグ選びのかなり重要な条件でした。飲料と行動食をザックダウンせずに補給できるというのは時短や効率化の面から大きなアドバンテージです。
ボトルホルダーによりボトルを立てて収納できますし、他にもポケットがたくさんあるので中がごちゃごちゃになりません。
また、僕が使いやすかったのはマップケースです。いちいち地図をザックやズボンのポケットから取り出さなくてもチェストバッグからペロンと出すだけで地図を確認出来ます。マップケースの手前にはノートとペンを収納できるポケットがついてますのでこれもとても便利。思いついたことや記録しておきたいことをすぐに書けるっていうのは僕にとっては重要です。
“パスファインダーL”の使い方考えどころ(パッキング編)
逆に使い方を考えなければいけないと思った点は、結構パンパンになりやすいという点です。
それはたくさんポケットが付いているから、ついついたくさんモノを入れてしまうからなんですが、結局本体の厚さは10cmにも満たないくらいですので、なんでもポンポン入る四次元ポケットだと思っていたら重くなってしまうし、膨らんでしまうな…と。
なので、本当に「すぐ取り出したいもの」を考えてみる良い機会になりました。
行動中に「すぐ取り出したいもの」・・・飲料ボトル、ちょっとした行動食、カメラ(コンデジ)、ティッシュ(花粉症なので)、地図、コンパス、手帳、ペンくらいでしょうか(主観)。
スマホのバッテリー、日焼け止め、絆創膏、リップクリーム、洗顔ペーパー、ナイフなども入れてしまいましたが、これらはよくよく考えたら行動中頻繁に使うものではないですね。今回の行動中は全く触れませんでした。
こういう考えって軽量化の見直しにもなります。パスファインダーもあえてギリギリで要領をセーブした設計になっているのだと思います。
“パスファインダーL”の便利なところ(フィット感編)
フィット感と題しましたが、装着感というか、身体の動きに対して干渉するかどうかという話です。
チェストバッグはウエストバッグより上の位置で固定されますが、実は名前の通りチェスト(胸)の位置に来るわけではありません。だいたいお腹の「みぞおち」くらいに固定されると思います。ウエストバッグだと下腹部なのでそれよりちょっと上ってイメージです。
パスファインダーは付属のアタッチメントをザック側のショルダーベルトに固定し接続します。そしてザックのウエストベルトをパスファインダー本体裏面のスリーブに通したら固定完了です。
ザックの種類によって、ちょうど良い位置にくるよう、接続に工夫をする必要があるかもしれません。
僕はアコンカグアのイグアスに装着したのですが、イグアスの場合、チェストストラップを通す穴にアタッチメントをつけた方が良い位置にきます。
そのフィット感(安定感)は走っても大丈夫なくらいです。
ザックに取り付けているので体に密着し、バランスも良いですし、荷重分散されている感じがします。
足元の視界について、厚さも10cmありませんので、気になりません。もっとも登山中は本当の足元より、1歩~2歩先に視線を置きますので足元が見えなくてもさほど問題ありません、ただし3点確保が必要な岩場では不便かもしれません。
関連記事:レビュー:“Aconcagua (アコンカグア)”の“IGUAZU (イグアス)23L+7L”を買ってみた。
“パスファインダーL”の使い方考えどころ(フィット感編)
ひとつ難しいなと思うのはザックを下す時に不便になるのです。一回チェストバッグを外して、どこかに置いてからザックを下すという形になるのですが、できればザックを下してもそのままチェストバッグは身体から離れないでいてほしいものです。
これを解決するには付属のショルダーバッグ用ストラップを使用します。ザックを下す前にストラップを首に回し、パスファインダーとザックとの接続を解除し、首に回したストラップと接続、そしてザックを下せば首からパスファインダーがぶら下がったままとなります。
ちょっとめんどくさいですが、これしかなさそうです。設計上仕方ないですね。
でもショルダーバッグ化してしまえばとても便利で、テントサイトや山小屋到着後など、ザックを置いての周辺散策や、交通機関を使っての移動時に大変重宝することは間違いないです。
その他、防水性について
その他に、付属品としてレインカバーが付いています。パスファインダーは防水性はありませんのでこれが必要なのです。
でも僕はそもそも、防水したいものはちゃんと防水サックにいれたり、ジップロックに入れたりしますのであまり気になりません。
防水性の無いカメラを雨が強いときにいちいちチェストバッグから出し入れするかと言えば、答えはNOです。雨が強い時は濡れてはいけないものはパスファインダーから出してザックにしまえば良いと思います。行動食やボトルは濡れても問題無いですから。
というわけで今後ますます活躍しそうなパスファインダーのレビューでした。
おわり
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